山口真帆問題で、日本エンターテイナーライツ協会が声明 卒業めぐる「ファンの懸念もっとも」

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   アイドルグループ「NGT48」の山口真帆さん(23)が卒業を発表したことを受け、弁護士らで構成される「芸能人の権利を守る 日本エンターテイナーライツ協会」が2019年4月25日、声明を発表した。

   声明では、「山口真帆さんに対して違法な退職強要は無かったのか、ご本人の納得の上での卒業(退職)だったのか、ファンや多くの方々が懸念するのももっともです」とグループ運営側の体制に疑問を提示。芸能人の権利を守るための法整備の必要性を訴えた。

  • NGT48の山口真帆さん(2017年6月撮影)
    NGT48の山口真帆さん(2017年6月撮影)
  • 日本エンターテイナーライツ協会が公式サイトで発表した声明文
    日本エンターテイナーライツ協会が公式サイトで発表した声明文
  • NGT48の山口真帆さん(2017年6月撮影)
  • 日本エンターテイナーライツ協会が公式サイトで発表した声明文

「人権侵害といえるような事例も少なくありません」

   18年12月に男2人から暴行被害を受けたことを涙ながらに訴えた山口さんだが、運営会社AKSと見解の食い違いが埋まらないまま、4月21日のNGT公演で卒業を発表した。

   日本エンターテイナーライツ協会は25日、共同代表理事一同の名義で、「山口真帆さんの卒業表明について」と題する声明を発表。まず「現在に至るまで、芸能人やアイドルの人権や権利については、芸能界においてタブー視され、軽んじられてきた傾向があります。その原因の一つには、アイドル・芸能人の『働き方』の特殊性があり、芸能人の法的地位が曖昧であることもあります」と芸能界全体に対する問題意識を示し、

「今回の一件は、今までアイドルの権利が軽視されてきた結果の一つですし、氷山の一角に過ぎません。実際、契約上は労働者ではないという前提のもと労働者としての最低限の権利も保障されていなかったり、アイドル特有の様々なハラスメントを受けたり、芸能事務所を辞められなかったりと、人権侵害といえるような事例も少なくありません」

と山口さんをめぐる一連の問題にも触れた。

「芸能人の権利保護はまだまだ不十分」

   芸能界の契約慣行について、「日本の芸能界では、芸能活動を通常の労働業務と区別し、特別扱いしてきた背景から、タレントと芸能事務所は雇用契約ではなく、マネジメント契約を締結するのが慣行になっています。今回の芸能事務所と山口真帆さんとの契約も、形式上はマネジメント契約になっていると思われます」とした上で、

「しかしながら、山口真帆さんの活動の実態からすれば、両者の法律関係は雇用類似の契約と考えられます。実際に数多くの裁判例においても、『アイドルは労働者か否か』が争われたほんどの事例において、裁判所はアイドルを労働基準法や労働契約法上の労働者と認定しています」

と指摘。こうしたことを背景に、

「そのため、芸能事務所は、アイドルに対して安全配慮義務を負うとともに、違法な退職強要は許されません。今回の一件においても、山口真帆さんに対して違法な退職強要は無かったのか、ご本人の納得の上での卒業(退職)だったのか、ファンや多くの方々が懸念するのももっともです」

と世論に理解を示した。

   最後に、「私たちは、芸能人やアイドル、タレントの権利を守るために戦っていますが、地方アイドル・ご当地アイドルも含めて、芸能人の権利保護はまだまだ不十分であると考えております」という問題意識のもと、

「行政は、芸能人の権利を守るために早急に実態調査をし、昨今のアイドル業界での実態を把握するべきです。また同時に、私たちは、芸能人の権利を守るための法整備が求められていると考えます」

と訴えた。

   同協会は芸能人の「権利保護」「セカンドキャリア形成」「地位向上」などのための活動をしている。共同代表理事は、望月宣武弁護士(日本羅針盤法律事務所)、向原栄大朗弁護士(向原総合法律事務所)、安井飛鳥弁護士(法律事務所くらふと)、河西邦剛弁護士(レイ法律事務所)、佐藤大和弁護士(レイ法律事務所)らがつとめている。

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