産休後に猛烈に働きたくなるのは、「自己実現が遅れたから」
これらの傾向について、経営コンサルタントで心理学博士の鈴木丈織氏は以下のように分析する。
「まず、内田有紀さんが演じた『過剰に働きたがる産休明けの女性社員』ですが、現代日本では実に典型的です。彼女のような女性たちは、口では『産休中は同僚に迷惑をかけた』と言いますが、その本心は『産休中にキャリアが積めず、自己実現が遅れた』と考えている場合が多いのです。ゆえに、ドラマのように、プロジェクトに横入りしているにもかかわらず、主導権を握りたがるなどの問題行動を起こしてしまいます」
続いて、良くないとは思っていても、ついつい「ブラック労働」的な発言をしてしまいがちなことについても、
「入った会社が残業まみれの職場だった場合、新人研修の際に心の中で反発していようがいまいが、指導内容そのものが価値判断の基準になってしまいます。そもそも、我々は学校教育を潜り抜けて社会人になるところからして、『真似て成長する』という能力があるのは明らか。ゆえに、内心で反発しても、『残業は美徳』という価値観はしっかりと刷り込まれます。そこから逃れることが出来ている、吉高さんが演じる主人公は、働きすぎて階段から転落し、一時、危篤となるも一命を取り留めたという設定です。仕事至上主義を捨てているという設定を実現させるためには、的確な設定だと思います。作中では、主人公が若手に定時での帰宅を促していますが、これが唯一の救いでしょうかね......」
働き方についての意識を変えるのは、我々が思っているよりもはるかに難しいことのようだ。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)