常岡さん「世界の状況を見る視野を完全に失ってしまうのではないかと危惧」
常岡さんは、「人道危機の現場に関するニュースの絶対量が世界主要国に比べて、(日本では)極端に少ないということはご存知ではないかと思う」と強調。ニュースの量が少なくなり、状況の悪化を感じているといい、
「これをそのまま放置していきますと日本人、日本政府どちらにしても、世界の状況を見る視野を完全に失ってしまうのではないかと危惧している。今回の裁判は、わたくし自身の利益のためというより、日本が世界を見る視野を失おうとしている現状に少しでもブレーキをかけたい」
と提訴への思いを語った。
15年1月にシリア北部で現場取材したという、当時朝日新聞記者で現ネットメディア「バズフィード」の貫洞欣寛記者からは、「17年夏にイラク北部でモスルが陥落し、大量の記者が入っている。モスルと2015年1月のシリア北部はISが撤退したばかりでほとんど同じ状況だったが、記者は誰も旅券返納命令を受けておらず、私もそう。あなたと杉本さん(フリーカメラマンの杉本祐一)に関しては旅券返納命令が出た。その違いは組織に属しているかいなかでは」と質問が上がった。
常岡さんは「旅券返納命令が出された2件ともフリージャーナリスト」と回答。パキスタンで拘束され強制送還されたことや、ビザ申請をしたが断られた経験などを明かし、「そういった方はすべてフリーの方。会社員ジャーナリストの方でそういうケースは存じない」と話し、次のように語った。
「一度外務省の方とお話したとき、『大手メディアの人たちは会社が安全策などをとって保険に入るなりってことをするが、フリーの方にはそういった後ろ盾がないですからね』と言い方をされたことがあった。外務省側でもフリーランスとそうでない人の違いを意識していると感じた」(常岡さん)
外務省旅券課の首席事務官は4月24日、J-CASTニュース編集部の取材に対し、「報道あったことは承知しているが、訴状を拝見しておらず、今の時点では何もお答えすることはない」と回答した。
(J-CASTニュース編集部 田中美知生)