ドラッグストア躍進もついに「壁」?サンドラッグ苦戦が意味するものとは

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   快進撃を続けてきたドラッグストア業界が成長の壁に直面している――そんな見方が浮上している。

   とりわけ2018年3月期まで28期連続で純利益が過去最高を更新してきた3位のサンドラッグは、ついにその記録が途切れて減益となる見通しで、株価も2018年5月をピークに下落傾向に歯止めがかからない。

  • サンドラッグの行方が注目される(Kentinさん撮影、Wikimedia Commonsより)
    サンドラッグの行方が注目される(Kentinさん撮影、Wikimedia Commonsより)
  • サンドラッグの行方が注目される(Kentinさん撮影、Wikimedia Commonsより)

「店舗過剰」など業界全体が課題抱える

   証券会社の投資評価の格下げを受けた4月9日には約4年ぶりの安値をつけ、反転のきっかけをつかみにくい状況が続いている。

   4月8日にリポートを出したのはSMBC日興証券。投資評価を3段階で真ん中の「2(中立)」から最下位の「1(アンダーパフォーム)」に格下げするとともに、目標株価を5300円から2900円に一気に引き下げた。

   その理由として、ドラッグストア業界共通の課題として(1)店舗過剰、(2)食品強化や薬価改定による粗利率の低下圧力、(3)人件費上昇――があることに加え、サンドラッグ固有の課題として出店計画の未達、立地効率の低下(肥沃な関東の駅前立地から郊外ロードサイドへのシフト)があることを挙げ、成長の壁がたちはだかる業界の中でも中期的な成長力が劣るとしている。

   2019年3月期の出店計画は92店だったが、60店以下にとどまったとみられている。出店計画が未達となることは、積極出店で売上高を増やすことで人件費の伸びを吸収するサンドラッグの「勝利の方程式」が通じにくくなることを意味する。

   サンドラッグは採算性を保つために開店4年目に2500万円の経常利益を出せる物件を選んで出店してきたが、賃料をはじめとする諸経費の高騰を受け、2017年10月に基準を2000万円に引き下げた。それでも計画通りに進まないというわけだ。2020年3月期は店舗を開発する人員を増やして出店を強化する方針だが、一方で店舗過剰(出店余地の縮小)という業界共通の課題もあるため、一筋縄ではなさそうだ。

百貨店を超え、コンビニを射程に入れたが...

   これに先立つ2月8日にサンドラッグが発表したのが2019年3月期の業績下方修正。従来予想では、純利益は前期比7.3%増の266億円と、29期連続で過去最高を更新するとしてきたが、天候不順や新規出店の遅れなどを理由に4.0%減の238億円に下方修正し、記録ストップを見込んだ。

   このころから証券会社による目標株価の引き下げが目立つようになり、株価下落に拍車がかかっていた。SMBC日興証券が「投資評価の格下げ」を朝方に配信した4月8日には終値が3000円の大台を割り込み、9日には一時2920円と約4年ぶりの安値をつけ、その後も反転の兆しが見えない展開となっている。

   ドラッグストア業界は加工食品や日用品の価格を格安に設定して集客し、利益率の高い医薬品や化粧品で儲けるビジネスモデルで店舗数、売上高を伸ばしてきた。業界としての売上高は2016年度に百貨店を超え、コンビニを追うところまで成長した。

   しかし、これまで売り上げを支えてきた訪日中国人も、中国で転売することを目的として日本で商品を買うことへの規制が昨年来、強まっていて頭打ちが見込まれる。各社の競争もますます激化する。サンドラッグの苦戦は、こうしたドラッグストア業界全体の成長の「踊り場」を反映したものなのか。

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