「毒親」を特集したNHK番組で、キャスターの武田真一さん(51)が突然、大粒の涙を流し、ツイッター上で話題になっている。
「私も決して他人事ではない」。2019年4月18日夜放送の報道番組「クローズアップ現代+」で、2人の子供がいるという武田さんは、番組の冒頭過ぎに、カメラに向かってこう告白した。
「私は、毒親という言葉にものすごく抵抗があって...」
番組によると、毒親とは、子供に過干渉や暴言・暴力を行ったり、親を優先して子供と関わらなかったりすることを指す。アメリカの専門家が提唱した概念だという。
「毒親にならないために」として、番組では、子供には適度に関わることなどが大事だとする精神科医の岡田尊司さんの考え方が紹介された。武田さんは、「これができて初めて、親子にとっての安全基地になることができる」としたうえで、自らの個人的な考えをこう明かした。
「あのー、私は、毒親という言葉にものすごく抵抗があって、それを耳にするたびにですね、1人の親として本当にズタズタに切り裂かれるような痛みを感じるんですね」
武田さんによると、親は子供を思って一生懸命育てており、子供に期待するのは当然ではないかというのだ。
これに対し、岡田さんは、同意しながらも、こう付け加えた。
「ただ、やはり人間、親子といえども、それぞれ違う特性を持った存在です。だから、親にとって、これが一番いい正解だと思うことをこうしなさいって言うことは、子供にとっては、全然的外れな答えを押し付けることになっているかも分からないですね」
「きっと、いろいろと悩まれてるんだろうな」
それでも、武田さんは、まだ思うことがあるらしく、社会が複雑になって生きていくのが大変ではないかという心配があるとした。「もっと英語勉強した方がいいんじゃないかとかですね、もっとIT勉強した方がいいんじゃないかとか、いろんなことやっぱ言ってしまう」という。
このことについて、岡田さんが押し付けにつながる可能性を指摘すると、武田さんは、「押し付けたー。そうかあ、ただ反省することばかりですね」と神妙な様子に。「ある程度子供も大きくなって、子育てのいろいろな後悔があります。どういうふうに乗り越えていったらいいのか」と漏らした。
親子関係で悩んだという女優の東ちづるさんが、母親が謝ってくれたおかげてスッとしたと話すと、武田さんは、「親...」と言って言葉に詰まる。
そして、東さんが「親って大変ですね」とフォローすると、武田さんの目から大粒の涙があふれた。
「そうですよね...」。右手で涙をぬぐい、武田さんは、「泣けてきた」「親が泣いてどうするんだって話ですけれど」と目を赤く腫らしていた。
岡田さんが、最後のプロセスとして親子関係の調整を説くと、武田さんは、子供が苦しんでいるなら向き合うのが親の最後の務めだと、自分に言い聞かせるように話していた。
放送終了後には、武田さんの涙について驚く声がツイッター上で上がった。「本当に精一杯やっているんだなぁ」「武田アナにとても共感した」「涙流してたのに少し救われました」といった声のほか、「きっと、色々と悩まれてるんだろうな」「最後は完全に武田アナのカウンセリングになってた」といった感想も書き込まれていた。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)