弁護士に見解を聞いてみた
レイ法律事務所の菅原草子弁護士は16日、J-CASTニュースの取材に、今回のようなケースは記事の書き手と募集主は民事・刑事上の責任が問われる可能性があり、クラウドワークスのような求人サイト側も「違法な書き込み依頼の場を提供し、掲載を止めなかった場合には、共犯として、刑事上の責任、民事上の責任が問われる可能性があります」と指摘する。
「民事上の責任を追及したい場合、まずは、ウェブサイトの管理者などに発信者情報開示を請求し、発信者のIPアドレス(ネット上の住所)を取得します。その後、プロバイダーに対し、発信者の氏名住所等の情報開示を請求します。個人情報が明らかになれば、損害賠償請求や、謝罪文を掲載させるなど名誉回復のための措置を取らせることが考えられます」
刑事責任としては、誹謗中傷の中でも「事実を適示して相手の社会的評価を低下させるものである」と判断されれば、名誉毀損罪に当たる可能性がある。また、事実を適示しない抽象的な書き込みであっても、人を侮辱したと判断されれば侮辱罪に問われる場合もあるという。
菅原弁護士は、「例えば、単に『ナルシストだ』と言った場合には侮辱罪にあたる可能性があり、『いつも鏡を見て自分をかっこいいと呟いたり、エゴサーチばかりしていて、ナルシストだ』と事実を指摘し、社会的評価を下げた場合と考えられる場合には、名誉毀損罪にあたる可能性があります」と説明する。
ただし、今回のクラウドワークスのように、
「利用ガイドラインを作成し、『プライバシー権、肖像権、名誉、信用その他他人の権利を侵害し、損害を与える』仕事の募集を禁止し、実際に違法な仕事の募集書き込みを削除するなどの適切な管理をしているような場合には、掲載サイトとしての義務は果たしているとして、法的責任は問われないことも考えられます」
と付け加えた。
実際、法的措置に踏み切る場合、被害者本人か法定代理人などが法的手続を行う必要がある。しかし、「第三者がサイト管理者に報告することで、管理者は違法な書き込みの存在を知ることになるため、それを放置すると『プロバイダ責任制限法』に基づき、損害賠償責任を負うことになる可能性があります。このため、管理者はファンから報告を受けた段階で削除する可能性があり、ファンの方などは報告することで書き込みや記事の削減につなげることができるかもしれません」(菅原弁護士)