47キロの減量をしたお笑いタレント・ガリガリガリクソンさん(33)を広告に起用した健康食品サイトに、SNS上で懐疑的な意見が寄せられている。
商品サイトではガリクソンさんの減量前後の写真を掲載し、「○○ライフでボクは-47kg」(伏せ字は商品名)などと紹介していた。J-CASTニュースの取材に、弁護士は優良誤認表示にあたるとは断じられない、としつつ「消費者庁から表示の裏付けとなる合理的な根拠の提出を求められる可能性があります」と指摘する。
その後、商品ページの一部表現が変更されるとともに、関連するガリクソンさんのツイッター投稿は削除されている。
「日本一最短で脂肪を捨てた男。ヒントは」
ガリクソンさんは2019年4月2日、5か月のダイエットで122キロから75キロに減量したとツイッターで明かした。
「どうやって痩せたの?とかもうホント聞かれるの疲れたのでプロフィルを参照よろしくです」と投稿し、プロフィール欄には、健康ドリンクの商品ページのリンクとともに「日本一最短で脂肪を捨てた男。ヒントは」と記載した。
また、健康ドリンクを手にした写真とともに「みんなで理想の自分になろう」などともツイートした(投稿、プロフィールの記載はいずれもその後削除されている)。
健康ドリンクの商品ページでは、ガリクソンさんの減量前後の写真が掲載されており、「○○ライフでボクは-47kg」、「サプリとかパーソナルトレーニングとか全然続かない!そんな僕が成功しました!」などと宣伝している(表現はいずれも4日時点。16日現在、「○○ライフでボクは-47kg」の部分は「4ヶ月頑張って僕は47kg」に差し替えられている)。注釈として「ダイエット結果は適度な運動と食事制限を併用したものであり、全ての方に同等の結果をお約束するものではございません」「個人の感想です」などとも断っている。
減量成功の報告は複数のネットメディアで紹介され、話題となった。一方、SNS上ではこの広告について、景品表示法(優良誤認)の観点から問題視する声も上がった。
過去には健康食品会社に措置命令
健康食品をめぐっては、消費者庁が19年3月29日、酵素成分などによる痩身効果をうたった食品販売会社5社に対し、景品表示法違反(優良誤認)で再発防止などを求める措置命令を出した。
そのうちの1社は、複数の女性芸能人と健康食品の写真とともに、「ダイエット成功!!」などと商品ページに記載していた。同社は消費者庁の要請で表示の裏付けとなる根拠を示す資料を提出したが、合理性は認められなかった。
また、「※個人の感想です。効果には個人差があり、すべての方に同等の結果をお約束するものではございません」などと打ち消し表示をしていたが、消費者庁は「表示から受ける効果に関する認識を打ち消すものではない」との見解を示している。
弁護士の見解
アディーレ法律事務所の助川大樹弁護士は4月4日、J-CASTニュースの取材に、ガリクソンさんを起用した商品ページは打ち消し表示が複数あり、直接の痩身効果は強調していないとしつつ、
「ガリガリガリクソン氏のビフォーアフターの写真が多く掲載されていることで、 "この商品のおかげでガリクソン氏がダイエットに成功した"と感じる人は多いでしょうし、『いつもの飲み物をこれに超簡単』『我慢しないダイエット』といった表現も、運動や食事制限の負担が大きくないと思われる可能性があります」
と指摘。
さらに、
「成分の直接の効能を強調してはいないものの、『こんな方におススメ! 味が濃いもの、脂っこいもの ついつい食べ過ぎちゃう・・・』という表現の後に『炭の無数の穴に着目』と、過剰に摂取した油成分を、商品に含まれる炭が吸着することにより、痩身効果を得ることができると思えるような表現をしていることなどを考慮すると、暗に炭の痩身効果に与える効能を表現しているとも考えられます」
とも付け加えた。
「この広告は、相当な注意を払って作成されたもので、優良誤認表示にあたるとは断ぜられませんが、消費者庁の痩身広告についての考慮要素や近時の厳格な態度などを考慮すると、広告を総合的に見て問題となる余地はあると考えられます。その場合、これらの成分にその効能・効果が実際にあるかどうかははっきりとしていないので、消費者庁から表示の裏付けとなる合理的な根拠の提出を求められる可能性があります」(助川弁護士)
販売元、所属事務所の見解
販売元は4月4日、取材に対し、
「ダイエット前後の写真を掲載しておりますが、適度な運動と食事制限をしながら当該の商品を飲んだ事実に基づいて、その写真を掲載しております。ダイエットを保証するような記載はなく、あくまでも適度な運動と食事制限を併用したものであり、全ての方に同等の結果をお約束するものではありません、という注意喚起の記載を各所に表示しております。このような記載からも、ダイエットには個人差があることは表現されており、優良誤認を招くような記載にはなっておりません」
と主張。
ガリクソンさんのツイッターでの一連の投稿については、「あらぬ誤解が生じないためにも、ガリクソン氏に対しても、誤認を招く可能性のあるツイートは控えるように伝えてあります」と答えた。
ガリクソンさんの所属事務所は16日、取材に対し、商品に関する投稿やプロフィールの記載は「広告契約に基づく商品宣伝の一環として行った」と話し、広告主である販売元からの依頼で行なったという。問題があると考えられる投稿などは削除したと答えた。
(J-CASTニュース編集部 谷本陵)