現金ではなく、日々の買い物でたまるポイントを元手に、資産を運用する。そんな「ポイント運用」サービスが各社で始まっている。
2019年4月には、TポイントとPonta(ポンタ)が、それぞれ参入。以前から楽天スーパーポイントやdポイントなどでも投資ができ、これで主要各社が出そろった形になる。
ポイントで株や投資信託を購入できる
ポイント運用には、大きく分けて2種類ある。まずは、ポイントで直接、株や投資信託を買うもの。もうひとつは、指数に連動する形で、ポイントそのものが増減するパターンだ。まずは、前者に分類されるサービスを見てみよう。
Tポイント陣営では、19年4月10日に「SBIネオモバイル証券」がサービスを始めた。国内株式は100株単位でのみ売買できるのが一般的だが、ここでは単元未満株の仕組みを活用して、1株単位で取引できるのが特徴。1ポイント=1円相当で、数百ポイントから投資を始められる。
このジャンルで一歩先を行くのは楽天だ。楽天証券は17年8月、楽天スーパーポイントで投資信託を購入できるサービスを開始した。18年9月からは、投信積立にも対応。NISAや、つみたてNISA口座でも使えて、税制面でのメリットも受けられる。加えて、ポイントによる投信購入は、楽天市場での還元率が高くなる「SPU(スーパーポイントアップ)」の対象のため、楽天ヘビーユーザーであれば、より恩恵を受けられる。
証券口座を作らなくていい「疑似投資」型も
4月9日に始まった「Pontaポイント運用」は、さっきの2パターンで言うと後者だ。このタイプのメリットは、わざわざ証券会社の口座を作らなくていい所にある。口座開設には、本人確認書類に加えて、マイナンバー確認書類の提出が必要なため、そこをネックに感じていた人は多いだろう。実際に現物株を取引するのではなく、ポイントが株価に連動して、日々増減する。Pontaの場合は最低20ポイントから、個別株に「疑似投資」でき、必要となればポイントとして引き出せる。
「dポイント投資」も後者。100ポイント単位で運用でき、アクティブとバランスの2コースから好みの投資スタイルを選ぶと、投資信託に連動して、日々ポイントが変動する。18年5月に始まり、約3週間後には利用者が10万人を突破。19年1月時点で、約35万人が利用していると発表されている。
これらのサービスの草分けは、16年12月に始まったクレディセゾンの「永久不滅ポイント運用サービス」だ。現在は、投資信託に連動する4コースと、個別株に連動するコースの計5つがラインアップされている。18年度第2四半期決算説明会(11月)の資料によると、約33万人が利用しているという。
もちろん、リスクや手数料は考えて...
これまでポイントサービスといえば、店頭で「使う」、もしくは他社ポイントに「交換する」のがメイン。ポイント運用の登場で、そこに「殖やす」が加わった。現物株や投資信託を直接買うサービスでは、その先に現金化への道も生まれる。
もちろん、少額でも「投資」であるため、利用にあたっては元本割れのリスクや手数料を加味して、きちんと検討する必要がある。しかし、万単位の現金を用意するよりハードルは低いため、資産を形成する上で、ポイント運用を入口にするのも選択肢の一つになるだろう。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)