ドイツのホームセンター「ホルンバッハ」の現地CMに人種差別的な描写があるとして、ネット上で物議を醸していた問題。企業側は日本時間の2019年4月15日、ツイッターを更新し、別のCM広告に置き換えたと伝えた。
企業側はツイッターで「春のキャンペーンの一部で、4月15日のフォローアップキャンペーンのスポットに置き換えられた」と説明している。
独広告評議会が見解か
一方、ツイッター上では15日ごろから、ドイツ広告評議会がメールで送ったとみられる文書のスクリーンショットが出回っていた。CMについて、人種や出自などを理由に特定の人々を差別する表現をしてはいけないことなどを定めた規則を侵しているという見解を示しているとみられる。
韓国のSBS(ウェブ版)では4月17日、独韓国文化院側の話として、ドイツ広告評議会が広告に異議を唱えた人に送ったメールとして、「広告が人種差別的だという評価を下して広告を変更したり、中止したりしなければ懲戒することを通知した」などと説明したことを伝えた。さらに同文化院側の話として、「広告を撤回することはしたが、まだ正式な謝罪が行われていないという事実に注目して、(ホルンバッハ側へ)書簡を送った」と紹介した。
ドイツの新聞社FAZ(ウェブ版)も4月16日、ホルンバッハ側が「CMを撤回(zurückgezogen)した」と報道している。筆者はこの上記の文書を念頭に置いたとみられる伝え方をしていた。記事では評議会側がCMについて、「人種差別主義」などとする結論を出したことに言及。出回っていた文章については詳しく触れていなかった。
「春の匂い」と題したこのCMでは、汗だくになっている白人男性が脱いだばかりの下着に、若いアジア系の女性が顔を突っ込んで匂いをかぐ様子が表現され、「アジア人を侮辱しているのではないか」などの指摘が相次いでいた。署名サイト「change.org」では、CMの削除や謝罪を求める運動が始まっていた。17日10時40分時点で3万8000以上が賛同している。
ホルンバッハ側は4月2日、公式サイトで「誤解を払拭するために明確な立場をとる責任がある」などと声明を出し、4日にウェブサイトで「多様性を重視した企業であることを、ここに断言します」などと見解を発表。日本語でもコメントを出しており、「アジア人への中傷を覚悟していましたか」という質問に対し、「誰かを傷つけるつもりは毛頭ありませんでした。ヨーロッパのアジア・コミュニティーの一部の方々と東アジアの人々に、このキャンペーンが差別的という印象を与えていることは当社が非常に遺憾とするところです」と釈明していた。
編集部では15日以降、ホルンバッハ側がCMを置き換えたことについて具体的な理由に明言しているかどうかツイッターやネットを調べたが、見当たらなかった。
(J-CASTニュース編集部 田中美知生)