自宅に来るダイレクトメールなどの中には、自分の住所や名前の下にバーコードがあるものがあるのをお気づきだろうか。
実は、すぐに解読できる住所情報になっており、SNS上に郵便物の写真をアップするときには注意が必要だというのだ。
記者が自宅のDMを調べてみると...
これは、日本郵便が住所の自動読取区分機にかけるために導入している「カスタマバーコード」と呼ばれるものだ。差出人が1000通以上まとめて郵便物を出す場合、このバーコードをあて先に印字すれば、料金割引が受けられる。
しかし、SNS上に郵便物の写真をアップする際、住所や名前を隠しても、バーコードを隠さなければ、スマホアプリを使って住所が分かってしまう――。「仲村かめお」さん(@nakamura_cameo)がツイッター上で2019年4月10日、こんな注意喚起を行うと、「初めて知りました」「えっ!気をつけないとですね。。」などと戸惑いの声も相次いだ。
仲村さんは、家に届いたDMや料金明細などを何かの理由でSNS上にアップすることについて、「一般の人にはただの模様にしか見えないバーコードにも、情報が有る」と訴えている。フォロワーにもアップした人がいたので注意喚起したという。
実際、ネット上を調べると、公的機関の募集案内が来たとバーコードは隠さないでツイートしていたケースがいくつか見つかった。
そこで、J-CASTニュース記者が自宅に来たDMなどを調べると、役所などからの行政通知のほか、クレジットカード会社や保険会社、車のディーラーなどまで、自らの住所や名前に下にバーコードが印字されていた。
実は、このバーコードは、スマホアプリを使わなくても、日本郵便の公式サイト上で公開されているマニュアルを見れば、すぐに解読できる。バーコードの形で数字が割り振られており、郵便番号や住所表示番号から住所が分かってしまうのだ。
「SNS投稿は想定しておらず、注意喚起もしていない」
このマニュアルを使って、記者の自宅に来たDMなどのカスタマバーコードを読み解くと、スタートやストップなどの記号に挟まれて、自分の住所がハイフンを交えながら、アパートの部屋番号まで記されていた。
例えば、NTT東日本は、固定電話料金の請求書などで客の住所にこのバーコードを使っているが、同社広報室は4月12日、J-CASTニュースの取材にこう話した。
「郵便物の割引を受けるために記載しています。これまでにネットで住所が知られてしまったといった被害などは、聞いたことがないです。バーコードを止める予定もありませんが、支障が出てくれば、注意喚起なども検討したいと考えています」
また、クレジットカード会社などでつくる日本クレジット協会の広報部でも同日、どのくらいのカード会社がバーコードを利用しているかは不明とし、「電話相談窓口で、この件での問い合わせはこれまでにないと聞いています。注意喚起なども特にしていないです」と取材に答えた。
バーコードを運用している日本郵便の広報室は15日、差出人は大口顧客の法人が大半だが、どれだけ個人あての郵便物にバーコードが使われているかは把握していないと取材に答えた。「手紙に付随したものとして扱っていて、SNS上に投稿するといったことは想定していませんでした。トラブルなどは聞いたことがありませんので、特に注意喚起などはしてきていないです」としている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)