「ちゃんと入院させてください」クルド人男性は面会室で訴えた 東京入管「医療アクセス」の現状

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家族が「救急車呼ぶ」も搬送されず

   メメットさんが日本社会の注目を集めたのは2019年3月、体調不良を訴えたにもかかわらず、2度にわたり救急車で搬送されなかったことがきっかけだった。

   当時出回っていた支援者などのツイッター投稿や複数の報道によると、メメットさんが体調不良を訴え、家族が救急車を呼んだにもかかわらず、救急搬送されなかった。一連の問題を指摘する支援者らの投稿が、12日夜ごろからツイッター上で相次ぎ、入管側の対応を批判する声が上がっていた。一連の入管側の医療体制について、支援者らは疑問視している。

   メメットさんは前日、入国管理局の難民調査官と話をしたばかりだった。記者が、調査官とどんな話をしたか尋ねると、「ちゃんと入院させてください。話ができない状態と伝えた」と振り返った。医療体制については「適当。聴診器を当てたことがない。検査したことがない」と語気を強めて批判した。

   子どもは、中学生と小学生の計3人いるが、メメットさんとは会えず、不法残留の状態だ。家族5人は、処分撤回の義務付けや在留特別許可を求めて18年12月21日、国を相手にした訴訟を東京地裁に起こした。

   訴状などによると、子どもたちは14年12月に東京入国管理局側から在留特別許可をしない処分がされている。長年日本で育ってきたため、トルコの公用語は理解できない。4月19日には、この裁判の第1回口頭弁論が東京地裁で開かれる。メメットさんは「子どもたちが裁判長の前に立つ。子どもの横に立てない。ありえないこと。日本らしくない。国として恥ずかしくないのか」と語気を強め、次のように話した。

「逃げる可能性はない。本当に日本のイメージがこの建物のせいで悪くなる。私は人間。こんないじめする必要はない」(メメットさん)

   面会時、訪れた妻と窓ガラス越しで手を合わせたメメットさん。終了時間が来ると、職員に抱えられながら、部屋を後にした。妻は、取材に対し「家族がばらばらで大変」と声を落としていた。

車いすに乗ったもう一人の収容者

   収容されているもう一人の男性とも、支援者とともに面会した。

   イラン出身のホセイン・トラービーさん。面会時、車いすに乗って室内に入った。「ご飯もすぐ吐いちゃう」。シャツをめくり、あばら骨の浮いた、やせ細った胴体を見せた。「腰から下がしびれる」とかすれた声で訴えた。検査について聞くと、「3月14日に血をとった。それだけ」と語った。難民申請をしているが認められず、本人はイランに帰れる状態ではないと主張する。

   支援者や入管側に抗議する有志団体の情報によると、09年に来日した。胆のう切除手術を経験。交通事故に遭ってから顎に器具を入れているが、収容中はケアすることができないため痛み、頻繁に吐いてしまう。もともと仮放免の状態だったが、入管に無許可で居所の愛知県から東京都に移動したという理由で、18年6月末東京入管に収容されたという。

   日本で日系ブラジル人の妻と結婚。小学生の娘と生まれたばかりの子どもが静岡に住んでいる。妻が永住権を取得しているので婚姻による在留資格を求めているが、許可は出ていない。第二子の出産に立ち会えるよう仮放免も希望したが却下された。面会時、トラービーさんは「一週間前の仮放免はだめだった。これで3回目。今、4回目を出している。時間がない」と訴え、

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