広島の「迷走」が止まらない。広島は2019年4月14日、横浜スタジアムでDeNAと対戦し、2-4で敗れた。2回に主砲・鈴木誠也外野手(24)の6号ソロで先制するも、6回までDeNA先発・井納翔一投手(32)に1安打に抑え込まれ打線が沈黙。投げては先発・九里亜蓮投手(27)が4回にホセ・ロペス内野手(35)に逆転2ランを浴びるなど3失点で、5回のマウンドに上がることなく降板。これで広島はチーム史上初となる開幕から5カード連続で負け越しとなり、借金は「7」にふくらんだ。
貧打にあえぐ打線に抑えきれない中継ぎ、リリーフ陣。チームの「歴史的」一戦は、現在の広島のチーム状況を象徴するものだった。先発はリードをもらいながらも5回までもたず、打線は「タイムリー欠乏症」。なかでも7回の攻撃は、広島ファンに失望を与えただろう。2死2,3塁からパスボールで1点を追加し、1点差となった2死3塁の場面。一打同点のシーンで安部友裕内野手(28)が三振に倒れ追加点ならず。そこには昨シーズンまでの「逆転の広島」の面影はなかった。
球団史上初のリーグ4連覇を狙うはずが、球団史上初の開幕からの5カード連続の負け越し。この惨状にネットでは、広島首脳陣に批判の矛先が。選手の起用法や昨オフの補強に関してまで批判は及び、中には指揮官の責任問題を言及するものまで見られた。緒方孝市監督(50)は「これがチームの現状。立て直していくだけです」と、球団史に刻まれた負の記録を真正面から受け止めた。
「チーム内で『戦犯探し』が始まります」
在京の球団関係者は現状の広島のチーム内の状況に関して次のように語った。
「まだ開幕してから15試合ですので、緒方監督の責任がどうこう出てくる時期ではない。リーグ3連覇をしている監督ですから球団も敬意をもって対応するはず。ただ、このようにチーム状況が悪化すると、チーム内で『戦犯探し』が始まります。バッテリーコーチや打撃コーチがやり玉にあげられ、チームの雰囲気がますます悪化します。このままの状況が続けばいずれそのような声も出てくると思います」
3月29日の開幕戦からここまで全5カードを消化して4勝11敗で勝率は.267。一向に復調の兆しが見えないチームに早くも優勝を断念するファンが続出し、Aクラスさえ危ぶむ声も上がっている。また、本拠地マツダスタジアムでは、熱狂的な応援で知られる広島ファンに「異変」も。4月9日のヤクルト戦では、8点差が付いた6回あたりからファンが続々と帰宅の途に。延長10回に12点を許した第2戦目は、裏の攻撃を待たずしてファンが離席。チームの歴史的惨状に鯉党の心は離れてしまいつつあるのか。
データも示す広島の苦境
開幕からの5カード連続負け越しは、07年の4カード連続を更新する球団ワーストだが、ブラウン監督が率いた07年は、60勝82敗2分で勝率.423で5位に終わっている。データ上では、過去、日本のプロ野球で開幕から4カード連続で負け越したチームが優勝したことはない。まだ開幕してから15試合を消化しただけとはいえ、「打てない」、「抑えきれない」というチーム状態に、これらのデータを重ね合わせれば決して楽観視できる状況ではないだろう。
昨オフは丸佳浩外野手(30)の巨人移籍に新井貴浩氏(42)の引退もあり、チームが転換期を迎えていることは確か。その一方で、昨オフは「自前」のチーム作りの方針のもと、大きな補強をしてこなかった。ここにきて丸と新井氏の離脱、そして昨オフの補強戦略のツケが回ってきたのか、不安定な投手陣と中核を欠く打撃陣の低迷ぶりがよりはっきりと見え始めた。
16日からは舞台を九州に移して巨人との2連戦。負の連鎖はどこまで続くのか。リーグ3連覇の王者が、暗闇から脱出するすべを見出せないでいる。