野村ホールディングス(HD)が大規模な構造改革に乗り出す。欧州などの海外事業を縮小するほか、国内でも店舗を2割削減し、今後3年間で、2018年3月期比で1400億円のコスト削減を目指す。
経営破綻した米リーマン・ブラザーズの欧州部門を2008年に買収後、高コスト体質から抜け出そうと何度もリストラを実施してきた野村HD。これで区切りをつけられるのか。
「駅前一等地の路面店」というコンセプト見直す
「トレーディングを中心とした伝統的な投資銀行ビジネスモデルが事実上崩壊し、電子取引のウエート増加により構造的な手数料低下圧力にさらされている。今までのやり方を続ける限り、現状から脱却できない。筋肉質な基盤作りを早急に進めなければならない」。野村HDの永井浩二グループ最高経営責任者(CEO)は2019年4月4日の機関投資家向け説明会で構造改革の必要性を力説した。
具体的には、欧州のトレーディング事業を大幅に縮小する。コストを半分にするほか、債券投資を中心に、ビジネスの規模自体を縮める。米国では格付けの低い「ハイ・イールド債」から撤退。一方、合弁による証券会社の設立認可が下りたばかりの中国では、富裕層向けビジネスに着手する。財務や人事、法務、企画などコーポレート部門も再編し、シンプル化。各ビジネスは地域ごとの経営体制をとってきたが、地域という概念をなくすことで、重複をなくす。
国内リテール分野にも切り込む。少子高齢化や、地方から都市部へのマネーと人口のシフトに合わせ、2019年3月の全国156店舗から中期的に30店舗以上を削減。「駅前一等地の路面店」という全国一律のコンセプトを見直す。ただし、1県に少なくとも1視点を置く全国網は維持する。6900人いる営業職員についても、法人・事業者オーナー、富裕層などと担当領域を明確化するため、配置換えを行う。これらの構造改革を実行し、海外で10億ドル(約1100億円)、国内は300億円のコスト削減につなげる。