ファミリーマートがdポイント(NTTドコモ)と、楽天ポイントカードを導入する。現在使えるTポイントはそのままで、消費者にとっては選択肢が増える形になる。
nanacoで囲い込むセブン-イレブンと、独自ポイントとdポイントの「二刀流」で攻めるローソンに対して、ファミリーマートの掲げる「オープン主義」はどうなるのだろうか。
Tポイント運営企業の株式は売却
ファミリーマートは19年4月10日、2つのポイントサービスを11月に導入予定だと発表した。19年度の同社は、地域密着と「オープン主義」をキーワードに、デジタル戦略を進めているが、その一環として、dポイントと楽天ポイントが採用される。
コンビニ大手3社は、それぞれポイントサービスを導入しているが、「3つから選べる」のはファミマが初となる。ローソンは、自社ポイントサービスをベースに作られた「Ponta」(10年開始)に加え、15年からはdポイントも導入した。セブンは、電子マネー「nanaco」の利用でポイントを付与しているが、現状では共通ポイントサービスに参加していない。
ファミマは07年からTポイントに対応。15年からは運営会社のTポイント・ジャパンにも出資している。その関係の深さから「ファミマといえばTポイント」のイメージが強かったが、今回Tポイント・ジャパン株式も売却すると発表。なお、店頭での付与・利用は、今後も続けるとしている。
dポイントと楽天スーパーポイントの付与は、Tポイントと同様に、税込200円ごとに1ポイントとなる。ファミマは7月から、決済機能付きのスマホアプリ「ファミペイ」を導入予定だが、これにポイントサービスを連携させる計画だ。
たびたび「離脱」が報じられたが...
ファミマをめぐっては、以前から「Tポイント離れ」の可能性が指摘されていた。ファミリーマートを擁するユニー・ファミマホールディングス(HD)は、大手商社の伊藤忠商事を親会社に持つ。17年6月、伊藤忠(当時は筆頭株主)の岡藤正弘社長(現、会長)インタビューが朝日新聞に掲載され、大きな注目を集めた。
ここで岡藤氏は、Tポイントには直接触れないながらも、「ATMもポイントも(利益の)流出がすごい。我々が提供したものは我々が利益を受け取るようにする」と発言し、新しいポイントカードの導入を検討していると明かした。これを「Tポイントからの離脱を検討している」と読み解く読者が多かったが、ファミマと伊藤忠は当時、J-CASTニュースの取材に対して、いずれも離脱を否定していた。
その後もたびたび動向が話題になり、18年11月に経済メディア「NewsPicks」が「追い込まれたTカード。『ファミマ撤退報道』の真相」と題して伝えたほか、19年1月には日本経済新聞がTポイント・ジャパン株の売却検討を報じていた。そして今回の発表。ひとまず離脱ではなく「共存」の道を選んだようだ。
7月にスタートする「ファミペイ」は、バーコード決済とクーポン利用、ポイント付与が一度にできる予定だ。小銭入れもポイントカードも不要、しかもライフスタイルに合わせて、複数のポイントから選べるとなると、競合他社にとって脅威になりえそうだ。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)