前回起きていた、あるトラブル
質問の概要は「麻生大臣は会見で、発行まで5年の期間について、自動販売機などが新紙幣に対応できるよう準備期間を設けたなどと説明したが、『自販機などへの対応の必要性』については、前回(02年発表、04年発行)の時も同様にあったのではないか。どこが今回と異なるのか」といったものだ。
これに対し、財務省の担当者は、
「前回は、偽造券(偽札)の増加という状況に対応するため、短期で新しい技術を速やかに導入する必要があった。このため、結果としてATM(現金自動預け払い機)では混乱は比較的少なかったようだが、自動販売機の対応準備が間に合わず、しばらく不便をきたした。こうした点を踏まえ、今回の措置となった」
と、前回より準備期間を長く設けた理由を説明した。
では、前回の「新紙幣」発行が始まった(2004年11月)頃における自動販売機(の紙幣識別機)の交換作業の実態はどうだったのだろうか。当時の新聞記事を確認すると、直前10月末の日経記事(「自販機切り替え、人海戦術も追いつかず」)で、JTグループは「(11月1日までに交換が済むのは)全体の3割程度」、日本コカ・コーラは「来年末になっても新札対応は7割にとどまる」との状況が報告されており、実際に対応の遅れが生じていたようだ。
「たまたま」問題はさておき、今回の紙幣刷新では、前回のような混乱はなく、多くの自販機で新札がスムーズに使えるようになるのか。少なくとも、準備期間は前回より余裕があるのは間違いない。
5月1日からは元号が「令和」となる。新札発行が始まる2024年は、令和6年に当たる。