「受けてみたい」「めっちゃ面白そう」――。京都大の「ニコ動」風講義が、SNSで話題となっている。
動画共有サイト「ニコニコ動画」のように「コメント」で参加できる取り組みで、導入した講師は「受講者が質問しやすくすることを目的としています」と話す。
コメントが右から左へ流れる
「ニコ動」風講義は、京都大学大学院情報学研究科の水原啓暁講師(認知神経科学)が行っている。スクリーンに映された講義スライドに、受講生がリアルタイムで意見を書き込める。
受講生が2019年4月11日、講義の様子をツイッターに投稿すると4万以上の「いいね」を集め、反響を呼んだ。
「受講者が質問しやすくすることを目的としています。大学の講義では質問をする学生がそれほど多くなく、学生の理解度を把握しながら講義を進めることが難しいため、理解度を把握しながら講義を進めたかったというのが導入の理由です」
水原氏は12日、J-CASTニュースの取材に導入の狙いをこう話す。
「ニコ動」風講義は10年ほど前から始まった。無料サービス「パパパコメント」を利用し、受講生は専用サイトにアクセスするだけでコメントが書き込める。コメントはスライドにリアルタイムで反映され、右から左に流れていく。
コメント荒らしへの対応は?
水原氏は、「学生の没入度合いは大きい」と導入の効果を実感する。
「講義の内容についてわからないなどのコメントがあれば、その個所を繰り返して説明しています。また、あらかじめ準備していなかった内容でも神経科学に関連する質問が頻繁に出ますので、そのようなコメントについては積極的に回答して、できるだけ神経科学という学問に興味を持ってもらえるように活用しています」
受講生の反応については、「講義改善の取り組みとして好意的に受け止めてくれている場合が多いですが、講義に集中できなくなるなどの批判的な意見もあります。そのような学生のために、講義のおよそ1週間前には講義で使う資料を学生に配布しており、あまりスライドに意識を向けなくても講義が受講できるようには配慮しています。また、耳が不自由な学生や留学生から、文字に起こして質問が流れるのでより理解がしやすくなったというメリットについても意見をもらったことがあります」(水原氏)
"本家"のようにコメントが荒れる場合も考えられるが、対応策は心得ている。
「最初のうちはコメントが荒れる場合もありますが、そのようなコメントは私のほうで意識して取り上げないようにしています。コメントを取り上げてもらえなくなれば学生も面白くなくなって、そのようなコメントをしなくなり、むしろ取り上げてもらえるような有益なコメントをするようになってきます」
(J-CASTニュース編集部 谷本陵)