定期便としては国内線のみを運航しているスカイマークが、中長期的な目標として欧米路線への就航を目指す。佐山展生会長が2019年4月10日に行われた「タカガールジェット」のお披露目会で、「個人的な話ですよ」と断った上で意欲を語った。
スカイマークは10年に国際線進出を発表し、成田-ニューヨーク線などの就航を目指していたが、実現しないまま15年1月に民事再生法を申請し経営破綻。その後就任した投資ファンド出身の佐山氏らのもとで業績を急回復させ、20年9月末までの再上場を目指している。長距離路線に「再チャレンジ」することで、成長戦略をより鮮明にしたい考えのようだ。
サイパンへのチャーター便はほぼ満員
スカイマークは、定期便は国内線でしか運航していないが、19年3月22日から30日にかけて成田-サイパン間でチャーター便を運航。大型連休中にも4往復させ、夏には定期便として運航を始める予定。佐山氏はチャーター便がほぼ満員だったことに触れる中で、
「サイパンの先にはパラオも検討する。将来的には、これは会社の決定事項ではないが、欧米にも飛ばすべきだと思っている」
と述べた。報道陣から真意を確認された佐山氏は、「個人的な話ですよ」と断った上で、(1)日本航空(JAL)や全日空(ANA)が運航しているパリやニューヨーク便は常に満席に近い状態が続いている(2)欧米でも日本の航空会社が直行便を飛ばしていない都市がある、といった点を指摘。その上で、直行便が未就航の欧米の大都市に需要が眠っているとの見方を示した。
「今回のサイパンで、『(日本からの)直行便がないので』という(現地当局からの)要望で飛ばして満席だった。欧米の大都市でダイレクトフライト(直行便)がないところに、毎日飛ばす必要はないが、週に2~3便飛ばすだけでも、ものすごい需要があると私は思っている」
機材は「欧米にダイレクトで飛べるものを」
現時点ではスカイマークは小型機のボーイング737-800型機のみで運航しており、欧米路線参入には、さらに大きな機材が必要だ。佐山氏は
「ただ、これは、大型機を入れて国内で飛ばして、実績を積んだ後。そういった目標がないと、1歩を踏み出せない。上場を機に、そういった方向性を出すべきだと考えている」
とも話し、あくまでも中長期的な目標だという点を強調した。
10年に国際線参入を発表した際には、超大型旅客機のエアバスA380型機を最大6機導入することを発表。実現していれば日本の航空会社としては初めてだったが、業績不振で購入資金のめどが立たなくなり、14年にエアバスから契約を解除されたという経緯がある。この点については、佐山氏は
「380は、やりません(笑)。もう作りませんけどね(編注:エアバスはA380の生産打ち切りを19年2月に発表している)。そういったことよりも、中型機よりもちょっと大きなもの、欧米にダイレクトで飛べるものを」
と話した。ボーイング787型機などを念頭に置いているとみられる。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)