国政における「ダブル選勝利」の意味
松井維新代表は、選挙後に、大阪都構想に反対の人もいるのも事実なので、丁寧に説明していきたいと話した。大阪都構想のための住民投票にこぎ着けるには、大阪府議会と大阪市議会の賛同が必要なので、今後は住民投票に向けて大阪市議会での多数派工作を続けるのだろうし、今回示された民意が後押しするだろう。
維新は、これまでの10年間でも大阪経済を浮揚させてきた。景気も雇用も10年前と比べてよくなった。2025万博や夢洲IRも、これまでの路線通りであるので、これを起爆剤として、今後の大阪経済も発展するだろう。
国政から見ても、大阪ダブル選で維新の勝利が意味がある。国政では、維新は今年10月からの消費増税反対であるが、反維新の自民と公明は消費増税を推進している。自民の中で、官邸はまだ最終的な決断をしていないものの、自民の大半と公明はほとんど財務省の追随である。もし、大阪ダブル選挙で、反維新が一つでも勝利したら、10月からの消費増税を大阪府市民が望んでいるという間違ったメッセージを与えかねなかった。
これから参院選の前哨戦ともいわれる衆院大阪12区補欠選挙(大阪府寝屋川市、大東市、四條畷市)がある。候補者は、無所属元職の宮本岳志氏(59=共産、自由推薦)、日本維新の会新人の藤田文武氏(38)、無所属元職の樽床伸二氏(59)、自民新人の北川晋平氏(32=公明推薦)の4氏。常識的には弔い合戦なので北川氏有利だろうが、消費増税は争点になりうるし、なったら面白くなる。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ
ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に
「さらば財務省!」(講談社)、「『消費増税』は嘘ばかり」(PHP新書)、「この数字がわかるだけで日本の未来が読める」(KADOKAWA)など。