丸より「新井の穴」大きい... 広島、データ上「V確率ゼロ」の窮地

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   リーグ4連覇を目指す広島に早くも黄信号が点灯している。

   広島は2019年4月10日、マツダスタジアムでヤクルトと対戦し、3-15の大敗を喫した。これで開幕から4カード連続負け越しで、チームは最下位のまま。過去、開幕から4カード連続で負け越したチームが優勝したことはなく、データでは広島の「優勝確率」はゼロ。投打の歯車がかみ合わない広島に何が起こっているのか。

   ホームのマツダスタジアムで迎えた巨人との開幕戦では、エース大瀬良大地投手(27)が巨人・菅野智之投手(29)との投げ合いに勝ち白星発進。4連覇へ盤石のスタートを切ったとみられたが、開幕カードを1勝2敗で落とすと、続く中日、阪神とのカードにも負け越し、10日のヤクルト戦敗退で4カード負け越しが決定。まさかの最下位にあまんじている。

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「チーム全体が浮足立っているように...」

    開幕から4カード連続で負け越したのは、07年以来12年ぶり。チーム状態は近年にないほど停滞しているが、さらに深刻なのはホームゲームで勝てないこと。開幕から10日までにマツダスタジアムで8試合行っており、成績は2勝6敗と大きく負け越している。ここ3年間で最も悪いスタートとなっている。

   広島の絶対的な強みはマツダスタジアムでの勝率にある。優勝した3年間のマツダスタジアムでのデータを見ると、16年が49勝20敗、17年が48勝20敗、昨シーズンは44勝24敗と驚異的な数字を誇る。開幕したばかりとはいえ、広島は今シーズン、ホームで早くも6敗を喫しており、例年以上のハイペースで黒星を積み重ねている。

   春季キャンプから広島を見てきた他球団の関係者は、低迷する要因を次のように指摘した。「今シーズンの広島は特に失策が目につく。本来、守りの堅いチームなのに、失策でピンチが広がり得点を許してしまっている。名手といわれる菊池(涼介)選手でさえ地に足が付いておらず、ありえないようなプレーをしている。チーム全体が浮足立っているように見えます」

昨年なら新井がベンチで声かけていたが

   不振が続く打撃陣。投手陣の不調はそれ以上だろう。昨シーズンまでは序盤でリードされても中継ぎ、リリーフが踏ん張り、打線の援護を得て逆転勝ちするケースが多かった。だが、開幕からここまでは、打線が湿りがちで先発の後を受けた中継ぎ陣が踏ん張り切れないでいる。ヤクルトには2戦連続の2ケタ得点を許し、2日間で計25点を献上。昨シーズン、ホームで2ケタ得点を許したのは5試合だったが、今シーズンは8試合で早くも2試合が2ケタ。投手陣の不安定さが際立っている。

   迷いは指揮官の采配にも如実に表れている。緒方孝一監督(50)は連日のように打線を組み替え、打線を固定しきれていない。同じオーダーで臨んだのは、開幕からの2試合のみ。3戦目から4番までメンバーを固定しているものの、5番以降は連日の入れ替えが続く。緒方監督は10日の試合後、「いい采配ができなかった」と絞り出し、敗因を自身で受け止めた。

   前出の関係者は「緒方監督は打線にテコを入れようと必死ですが、選手は落ち着かないでしょうね。ただでさえホームで結果を出せないでいる状況ですから。丸(佳浩)が抜けた穴は確かに大きいが、新井(貴浩)の引退で精神的な柱を失ったことの方が大きい。昨年までだったら新井がベンチで選手に声をかけていたが、今はその役目をする選手がいない。長野に新井の代わりを期待するのは酷なこと。6月の交流戦までにチームを立て直さないと、それこそ緒方監督の立場も危うくなりますよ」と指摘した。

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