リーグ優勝を目指す上で、カギになるのが救援陣の働きだ。
昨年リーグ3連覇した広島は先発陣が盤石とは言えなかったが、ロングリリーフもこなしたアドゥワ誠、最速158キロ左腕のヘロニモ・フランスアと2人の救援投手の存在が大きかった。アドゥワは52試合登板で6勝2敗5ホールド、防御率3.74。フランスアは47試合登板で3勝4敗1セーブ19ホールド、防御率1.66。丸佳浩(現巨人)が2年連続セ・リーグMVPを受賞したが、「アドゥワとフランスアがいなければ優勝できなかったかもしれない。2人が陰のMVP」とチーム内で評価されるほどの働きぶりだった。
マシソンは闘病中、上原も2軍スタートだが...
5年ぶりのリーグ優勝を目指す巨人は今季から原辰徳監督が3度目の監督に就任し、FAで丸、炭谷銀仁朗、新外国人に強打のクリスチャン・ビヤヌエバ、守護神のライアン・クック、ベテランの岩隈久志、中島宏之と大型補強を敢行したが、懸念材料は救援陣だ。
救援陣の屋台骨を長年支えてきたスコット・マシソンは感染症で闘病生活を送っていたため、まだ本調子には程遠い。1軍復帰は6月とみられる。さらに経験十分のベテラン・上原浩治も開幕2軍スタートでファーム調整となった。
ベンチ入りしている救援陣を見ると若さが目立つ。日本人の中で31歳の吉川光夫が最年長。宮国椋丞(26)、戸根千明(26)、桜井俊貴(25)、中川皓太(25)、大江竜聖(20)と続く。
宮本投手コーチは3月31日の広島戦(マツダスタジアム)で5人の救援陣をつぎ込んで逃げ切った試合後に「ピヨピヨ方程式」と形容したが、自信をつければ若さは大きな武器になる。大ブレークしたアドゥワも昨季が高卒2年目だった。巨人の若武者たちから救援陣の柱になる存在が現れる可能性は十分にある。
特に期待が大きいのが左腕・中川だ。プロ4年目の今季は「勝利の方程式」に組み込まれ、31日の広島戦で今季初勝利を飾るなど、開幕から3試合連続無失点と上々のスタートを切った。サイド気味の腕の振りから威力十分の直球、切れ味鋭いスライダーに加え、果敢に相手打者の懐も突くなどマウンド度胸も十分。中川の活躍が今季の巨人の命運を握るかもしれない。