1万円札などの刷新が報じられる中、沖縄銀行のATMでは、「2000円札不要」のボタンを押さないと2000円札が普通に出てくると、ツイッター上で紹介されて話題になっている。
一方、琉球銀行では、「2000円札優先」のボタンを押さないとほとんど出てない。それでも、両行の取り組みには共通点があるというのだ。
「沖縄銀行のATMでは、2000円札が普通に出てくる」
2000円札については、首都圏などでは、長い間見たことがないといった声がネット上では多い。
実際、2003年を最後に発行はストップしており、現在では、紙幣全体のわずか0.7%ほどに留まっている。対応できるATMが少ないことが主な理由のようだ。今回の刷新対象にはならず、菅義偉官房長官は4月9日午前の会見で、その理由を「流通枚数が少なく、偽造防止の必要性が低い」ことにあると説明している。
これに対し、沖縄県内では、2000円札の流通が増えており、現在は統計上、2000年の発行開始のときの3倍ほどにもなっている。背景には、沖縄の観光名所である首里城の守礼門が描かれており、県が05年に2000円札流通促進委員会を立ち上げて銀行などに働きかけてきたことがある。
沖縄銀行のATMでは2000円札が普通に出てくる――2019年4月9日にツイッター上でこう紹介されると、驚きの声が上がった。
「まだあったんだ」「欲しい!」と関心を示す反応が相次いだほか、本土では使いにくいので困るとの向きもあった。
沖縄銀行では、2000円札がいらないときは不要ボタンを押すことになる。しかし、もう1つ地元にある琉球銀行のATMでは、優先ボタンを押さなければ、2000円札はほとんど出てこないシステムになっている。
「積極的に使ってほしい」思いは共通
沖縄銀行の総合企画部では、2000円札不要ボタンを設置した理由について、J-CASTニュースの4月9日の取材に、次のように説明した。
「ATMでは、2000円札が切れてなければ、お釣りとして出てきます。優先して使ってほしいためで、趣旨は琉球銀行と変わりません」
一方、琉球銀行では、総合企画部の担当者が取材にこう話した。
「2000円札がほしい人は、優先ボタンを押せばいいということです。このシステムでは、『不要ボタン』は必要がないことになります」
共通しているのは、両行とも2000円札を積極的に使ってほしいということのようだ。なお、両行の窓口では、求めがなければ、2000円札をお釣りとして出すことはほとんどないという。
県の観光振興課では、「ATMについては、各金融機関の取り組みに任せています。流通促進委員会は、2000円札の発行10周年を機に一定の成果を挙げたと考え、2011年に解散していますが、守礼門には平和のメッセージがありますので、今後もより流通に広がりを見せてくれればと思っています」と話している。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)