それでも、いつかは...?渋沢との共通点
だが、その後10万円札などの「高額紙幣発行論」はしぼんでしまう(むしろ近年では犯罪対策のため、高額紙幣を廃止する動きさえある)。
その中で、「大隈10万円札運動」も署名提出をピークに、やがて立ち消えになってしまった。佐賀市にも尋ねてみたが、把握している限りでは「現在はそういった取り組みはしていない」という。ここでも、大隈は「お札の顔」になり損ねたのである。
そんな大隈だが、「コインの顔」にはなったことがある。2010年、地方自治法施行60周年を記念して発行された記念貨幣(1000円・500円)の佐賀県版として、大隈の肖像が使われたのだ。
思えば、今回「1万円札の顔」に選ばれた渋沢栄一も、かつて伊藤博文と1000円札の座を争い、惜しくも落選した。その後、地元・埼玉県深谷市では、「渋沢10万円札」も作って、「採用運動」を繰り広げてきた。2014年にはやはり地方自治法施行60周年の一環として、埼玉県代表の記念貨幣に選ばれるなど、その「歩み」は大隈と共通点が多い。
大隈重信も、いつかは――?
(J-CASTニュース編集部 竹内 翔)