参加選手「縮小」しつつ競技増やすIOCの矛盾
陸上競技全体で見ても、参加標準記録は前回大会の16年リオデジャネイロ五輪よりも格段にレベルアップしている。肥大化する五輪のスリム化を図る目的で、国際オリンピック委員会(IOC)が推し進める参加選手の「縮小」の影響を受けた形だが、一方でIOCの矛盾点も。20年東京五輪では前回大会の28競技、306種目を上回る33競技、339種目が行われる予定で、参加選手の数は若干減るとみられるが、前回大会同様に1万1千人以上が見込まれる。
96年アトランタ五輪で初めて参加選手が1万人を超え、00年シドニー五輪では実施種目が300に到達。96年アトランタ五輪以降、1万人を割ることはなく16年リオデジャネイロ五輪で初めて1万1千人を記録し、大会運営の管理、円滑な進行の観点から五輪のスリム化がIOCの大きな課題となっている。競技に関しては「新陳代謝」がなされつつあり、スケートボードやサーフィンなど若者向けの競技を新たに取り入れる一方で、伝統競技のボクシングなどが廃止の危機にさらされている。
陸上競技に限らず、参加選手の多い競技から種目を減らそうとする動きはたびたびメディアで取り上げられてきた。陸上のようなタイムを競う競技においては参加標準記録が引き上げられ、そうでない競技においてはアジア、欧州など地域予選を勝ち抜いて代表枠を獲得するというのが主流となっている。既存競技の参加人数を抑えつつも新たな競技を追加することで、依然として五輪の肥大化に歯止めがかかっていない。84年ロサンゼルス五輪を境に確立されたといわれる商業五輪。いつの時代もツケを払わされるのは選手にほかならない。