注目される不動産税導入 遅れれば「地価暴落」も

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ひっ迫する地方政府の財政

   売却収入は売り主である地方政府の大きな財源となり、不動産高騰は政府の懐も大いに潤してきた。目下の大きな問題は、この仕組みが始まって30年余り経ち、全国的に見ても売れる値打ちのある土地がだんだん少なくなってきたこと。そして、「土地依存症」と指摘される財政規律の緩みの結果、多くの地方政府が債務過多に陥ってしまっていることだ。

   一方で、2019年には、景気浮揚策として2兆元(約33兆円)という巨額の減税が実施される。地方政府の財政がひっ迫する中、新たな財源を国は考え出さねばならない。こうしたジレンマを打開する切り札として浮上したのが不動産税だ。2017年から進められてきた、全中国の住宅情報オンライン化の完成で、不動産税導入への技術的ハードルも低くなってきている。

   全人代法制工作委員会の劉俊臣副主任は、今年3月9日の記者会見で「不動産税の法案作りへの調査を関係者が着実に進めている」と発言。導入に向けて、確かにいくつもの難問がある。たとえば、先の北京・海淀区の億ションについて、税額をどうやって算定するべきか。高騰後の価格を基にするならば、古くからの住人がとうてい納付できない高額となってしまう。

   だが、中国経済の構造改革にとって不動産税は不可避であり、導入は時間の問題だと私は考えている。端的に言えば、不動産税によって「暴落」は起こらないものの、税の導入が遅れてしまって、これまで不動産価格を支えてきた地方政府が財政的に支えきれなくなった時、「暴落」は起こりうるのだから。

(在北京ジャーナリスト 陳言)

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