全国のパチンコ営業店舗数が、ある調査で1万店を割った。関係団体の調査でも1995年(約1万8200店)をピークに減少を続けている。そうした中、各地のパチンコホール組合で組織する「全日本遊技事業協同組合連合会」(全日遊連、東京都新宿区)は、公式サイトのトップページに「ファンからの声」への誘導枠を「最新情報」欄に載せている。
「声」のページにとぶと、賛否の声が並んでいるのかと思いきや、ほぼ全面「厳しい声」で、「新台毎に出玉も減り(略)全く楽しくない」「何も起きなくて楽しめる訳が無い」といった調子の指摘が数十件も並んでいる。こうした厳しい声を紹介する狙いや、店舗数の減少に対する受け止め方や対策について全日遊連に聞いた。
営業店舗数は1万店の大台割る
矢野経済研究所(東京都中野区)が発表(2019年3月18日)した、全国のパチンコホール経営企業に関する調査結果によると、全国のパチンコ営業店舗数は18年末の時点で、9794店となり、前年末(1万258店)より460店以上減って1万店の大台を割った。直近5年の数字を見ると、14年(1万1292店)以降、毎年減少を続けている。パチンコ経営企業数も、17年(3244社)から18年は3003社へ落ち込んだ。
こうした減少について、同研究所は「これまで同様、主に1店舗経営などの小規模なパチンコホール経営企業の撤退や倒産が原因となっている」と分析している。
パチンコ店舗数の減少傾向は、全日遊連がサイトで公表している数字でも確認できる。バブル経済崩壊から間もない1995年(いずれも年末時点)の1万8244店をピークに、以降は年々減り続けており、2005年(1万5165店)、15年(1万1310店)などとなっている。最新数字は17年の1万596店で、前年(1万986店)より390店減った。ピーク時から22年で約7650店も減っており、平均すれば1年間で350店近くが減っている計算になる。
パチンコやパチスロ市場の数字を見ても、「レジャー白書2018」(公益財団法人 日本生産性本部)によると、17年の余暇市場動向は、公営ギャンブルが堅調で特に地方競馬は3年連続の2ケタ増となる一方、パチンコ・パチスロは前年より減少して20兆円の大台を割り込んだ。
こうしたなか、全日遊連公式サイトをみると、トップページの「最新情報」に19年3月1日更新で「ファンからの声」の項目が載っている(4月4日現在)。該当ページに飛ぶと、約40件の意見が並んでいる。全日遊連が運営している「パチンコ・パチスロ健全化ネット」公式サイトに寄せられた声の一部だそうだが、基本的に厳しい声ばかりが並んでいる。
「新台毎に出玉も減り(略)全く楽しくない」(20代男性)
「乱数おかしいんじゃないか。(略)何も起きなくて楽しめる訳が無い」(同)
「今のパチンコ、パチスロは、ほんとうにつまらない。規制ばかり厳しくなり、夢も希望もない」(40代女性)
といった調子だ。
「ファンからの声を真摯に受け止めるとともに...」
ここまで厳しい声を列挙する狙いは何なのか、また、いつから掲載しているのか。J-CASTニュースが全日遊連に質問したところ、4月4日までにメールで回答があった。パチンコ店の減少傾向に対する受け止め方と対策についても聞いた。
厳しい声を数十件も紹介していることについては、
「ファンからの声を真摯に受け止めるとともに、改善に向けた取り組みの参考にするためです」
とのことだった。掲載の取り組みは、(健全化ネットのリニューアルがあった)2014年12月から始めており、更新頻度や今回までの延べ更新回数については回答はなかった。
パチンコ店の減少傾向について、その受け止め方や理由分析、今後の対応策などを尋ねた数点の質問項目に対しては一括で回答があり、
「現在、状況を分析し、改善に向けた取り組みを検討しております」
との認識を示した。
先の「ファンからの声」(3月1日)の末尾では、「60代男性」の意見が紹介されており、
「最近は投資ばかりさせお客に遊ばせることもなく、時間つぶしにもならない遊技場が多すぎます。年寄りはもうかることよりも時間つぶしの人が多いのです」
と指摘していた。