「早く、早く行け!」「死ねゴミ!!」――。列車の写真撮影を趣味とする鉄道ファン(撮り鉄)の集団が、目の前を通行した車両に激しい罵声を浴びせる動画が、ネット上で物議を醸している。
なぜ撮り鉄集団は激怒したのか。投稿された動画をみると、撮影スポットの前にある道を車が横切ったことで、目当ての列車の写真が撮れなかったらしい。その苛立ちを、車の運転手にぶつけているのだ。
「行け、行けよ早く行け!」
現場となったのは、埼玉県の東大宮駅と蓮田駅の間にある列車撮影スポット。撮り鉄の「聖地」と呼ばれ、ファンの間では「ヒガハス」の愛称でも知られている。
今回の騒動が起きたのは、2019年4月4日のこと。現場に居合わせた複数の目撃者が、その一部始終を撮影。ツイッターに動画がアップされたため、ネット上で大きな注目を集めることになった。
動画を通じて、詳しい状況を見ていこう。
まず、問題の撮り鉄集団は道路の脇に立って、目当ての列車を待っていた。位置関係としては、撮り鉄集団-道路-線路という順になる。どうやら、道路脇で咲く桜と列車を一緒に撮ろうとして、この位置でカメラを構えていたらしい。
だが、彼らの目当ての列車が通過するその瞬間、目の前の道路を1台の車が走ってくる。当初は「車止めちゃえ、止めちゃえ」などと囁き合っていたが、徐々に近づいてくると急に慌て出し、
「止まっ、止まって!」
「ストップストップストップ!!!」
と大声で呼びかける。
こうした彼らの要望も届かず、車は撮り鉄集団と列車の間を通過。先ほどの「止まって」の声が運転手に聞こえたのか、徐行するようなゆっくりとしたスピードだった。これに撮り鉄たちは、
「行け、行けよ早く行け!行けええええええ!!」
「オイ、死ねよゴミ!!オイ!!!」
「オオオオィ!オオオオィ!!」
などと絶叫。このように、車に向かって次々と激しい罵声を浴びせかけたのだ。
「同じ鉄道ファンとして恥ずかしい」
もちろん、全ての撮り鉄が怒声を上げたわけではなく、落ち着いた声色で「仕方ないよ」と漏らす男性も。しかし中には、何度も繰り返し「死ね!」と車に向かって叫び続ける男性もいた。
こうした動画の内容に、ネット上では撮り鉄の態度を批判する声が噴出。ツイッターには、
「同じ鉄道ファンとして恥ずかしい」
「これは酷すぎますね。地元の方の事を考えていないんですかね」
「公道なんだから車が優先、撮り鉄は二の次」
といった声が続々と寄せられている。
そのほか、ゆっくりと通過した運転手の対応について、「多分叫んでるの聞いて何事やと思って減速したんだろうね」「こんな狭い道に相当人もいそうだし、徐行するのは当たり前」とする声もあった。