ついに誕生「総合取引所」の足引っ張る「省益」 金融庁と経産省の綱引きは続く

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「アジアで最も選ばれる市場」目指したいが...

   統合の姿は、大証と東商取が合体してデリバティブを一元化できるのが「理想」(JPX関係者)だが、実際にはそうきれいにはいかないようだ。東商取から貴金属、農産物の先物を大証に移管するが、東商取は存続し、原油を残したうえで新たに電力と液化天然ガス(LNG)の先物を上場して、「総合エネルギー市場」として再出発させるという。経産省のシナリオに沿った形で、「電力自由化で電気と発電燃料の価格変動を先物でうまく吸収する意味は大きい」(経産省筋)のはその通りだ。ただ、東証には原油ETFもあり、これと原油先物の裁定取引などを考えると、同じJPX傘下とはいえ別市場で扱うのは不合理だが、今回は経産省の主張が通った。「金融庁が一歩譲って、とにもかくにもJPX内に取り込むのを優先した」(大手紙経済部デスク)のだ。

   JPXの2018年のデリバティブの売買高は世界の主要取引所のなかで16位、首位のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の10分の1以下に沈んでいる。ここから、「アジアで最も選ばれる市場」(JPX幹部)にのし上がっていく上で「省庁の権益がこれ以上、障害となってはならない」(日経新聞3月30日社説)と分かってはいても、既得権はなかなか手放せないということか。

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