東京地検特捜部は2019年4月4日、日産自動車のカルロス・ゴーン前会長を新たな会社法違反(特別背任)の疑いで再逮捕した。同容疑者が逮捕されるのは4回目。ゴーン前会長は18年11月の最初の逮捕以来108日間にわたって身柄を拘束され、19年3月6日に保釈されていた。
保釈中に新たな容疑で再逮捕されるのは異例で、海外メディアでも過去の経緯を含めて速報された。その中には「人質司法」に言及するものもあり、日本の司法制度への批判が再燃する可能性もありそうだ。
ゴーン容疑者「逮捕は言語道断で恣意的」
今回の容疑は、中東オマーンの日産販売代理店に送金した日産の資金のうち、約5億6300万円を自らに還流させ、日産に損害を与えたというもの。ゴーン前会長は4月3日にツイッターのアカウントを開設し、日本語と英語で
「何が起きているのか真実をお話しする準備をしています。4月11日木曜日に記者会見をします」
と発表したばかりだった。逮捕を受け、ゴーン前会長は「逮捕は言語道断で恣意的」などとするコメントを、代理人を通じて発表した。
海外メディアの多くは、NHKを引用する形で再逮捕を報道。ゴーン前会長の主張や、記者会見が予定されていたことも伝えた。過去の経緯を説明する中で、日本の司法制度に対する批判に触れるメディアも相次いだ。AP通信は
「複数回にわたる逮捕で公判が開かれないまま拘束期間が長引くことになり、日本の刑事司法ではしばしば批判される検察の戦法だ」
「4か月での東京拘置所からの保釈は、確定判決がない状態で長期間にわたって拘束されることが日常茶飯事の日本では、異例の迅速さだった。こういった拘束は、自白を得るための『人質司法』だとして批判されている」
などと「人質司法」という単語を出して説明した。