日中関係改善に尽力 駐日中国大使・程永華氏に帰国報道

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   中国政府が程永華駐日大使(64)を交代させる方針を固めた模様だ。日本の各メディアが2019年4月3日、日中両政府の関係者の話として伝えた。程氏は10年に駐日大使に着任。在任期間は史上最長の9年を超えた。

   就任直後の10年9月には沖縄県の尖閣諸島沖で中国漁船と海上保安庁の船が衝突する事案が起き、尖閣諸島が国有化された12年には中国各地で反日デモが発生。日系商店が放火、略奪されるなどして日中関係は最悪の状態に陥った。そんな中でも程氏は関係改善に努め、首脳の往来も復活して両国関係が「完全に正常な軌道に戻った」(19年1月28日、安倍晋三首相の施政方針演説)ことで、交代が適切だと判断したとみられる。

   普段は近隣諸国に対して厳しいヤフーニュースのコメント欄にも、程氏の交代を伝える記事には「お疲れ様でした」といったねぎらいの言葉が並んでおり、好転した日中関係を反映しているとも言えそうだ。

  • 近く交代することが報じられた程永華駐日大使(2019年2月撮影)
    近く交代することが報じられた程永華駐日大使(2019年2月撮影)
  • 近く交代することが報じられた程永華駐日大使(2019年2月撮影)

日本への国費留学生の1期生

   程氏は日中国交正常化以降、中国が日本に初めて送り出した国費留学生のうちのひとりで、創価大学に留学した。留学先が創価大学だったのは、当時は国立大が中国人留学生を受け入れなかったためだ。駐日大使として赴任するまでに、1977~83年、89~92年、96~00年、03~06年の4回にわたって日本の中国大使館に勤務した経験があり、留学時代を含めると日本滞在歴は30年近い。日本語にも堪能で、15年に安倍晋三首相が始めた「日本語を話す駐日各国大使との昼食会」には、これまで4回開かれたうちの4回に出席している。

   妻の汪婉氏は近現代日中関係史が専門で、1996年に東大から博士号を授与されている。

   尖閣諸島をめぐる問題で日中が対立した際には、中国側の立場を日本側に主張する一方で、関係改善にも努めた。例えば、反日デモが激化していた12年9月に行われた中国建国63周年記念のレセプションでは、日中関係が「厳しい局面にあることを深く憂慮」するとしながら、

「中日関係の発展は両国政府および皆様を含む両国各界の方々に心血を注がれたものであり、容易に得るものではないということを忘れてはなりません。いっそう大切にしなければなりません」

   などと訴えていた。

中国外務省「現時点で具体的にお伝えできることはない」

   その後の日中関係は改善の一途をたどり、18年に李克強首相の来日と安倍首相の訪中が実現した。19年6月に日本で初めて開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議には習近平国家主席が参加する見通しだ。程氏の後任には05~11年に駐日大使館で公使を務めた経験がある孔鉉佑次官(59)が有力視されており、G20は孔氏が担当するとみられる。中国外務省の耿爽・副報道局長は4月3日の記者会見で、

「現時点で具体的にお伝えできることはない」

   として、程氏の交代を含めてコメントを避けた。

   今回の大使交代の報道を受け、ヤフーニュースのコメント欄には

「一言で言うと最悪な日中関係の状況から関係改善に尽力してきた大使だったと思います。お疲れ様でした」
「日中関係が難しい時期に本当に頑張ったと思います」

   などとねぎらいの言葉が相次いだ。一方、韓国メディアからは、

「『ジャパンスクール没落』の韓国とは対照的」(中央日報)

   などとして、中国と比べて日本との人脈の細さを嘆く声があがっている。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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