政府が公表しないとした新元号「令和」の考案者などについて、各メディアが次々に報じている。
こうした報道に対し、ネット上では「迷惑がかかる やめれないのか?」といった疑問や反発する声もあがっている。
本人が秘匿を希望している、と菅長官が説明
考案者などを公表しない理由として、菅義偉官房長官は2019年4月1日の会見で、本人が秘匿を希望しているほか、公表すれば特定の個人との結び付きが強調されることを挙げた。
安倍晋三首相も同日、NHKのテレビ番組出演で、令和の選定過程について、前例にならって、30年間は非公開とする考えを示した。公文書管理法施行令の規定に沿ったものらしい。
ところが、大手新聞などでは、元号発表の1日のうちから、考案者についてほぼ断定するようなニュースをサイト上で流した。さらに、政府が発表しないとした元号の候補案やその数、ほかの候補の考案者らも次々に報じた。
また、令和の考案者とされた万葉集研究のある第1人者にも、発表前後に直接取材し、本人は、「私は関係していない」「ノーコメント」などと困惑げに答えたと伝えている。
これに対し、ツイッターやニュースのコメント欄などでは、メディアの報道などに疑問や反発の声が次々に書き込まれている。「何でもかんでも、報道すれば良いのでは無い」「迷惑がかかる やめれないのか?」「マスコミの権力誇示の意図しか感じられません」などだ。
中には、報道の規制まで説く向きもあった。また、漏らしたとされる政府関係者について、責任を問う声も上がっている。
令和考案者が窮屈な立場に?
もっとも、「政府が人選などを事後的に明らかにしてこその国民主権」「公金使って決めてんだから公知の情報に決まってる」とメディアを擁護する声も一部にはある。
令和考案者とされる有識者の名前が報じられたことで、実際に、元号と個人との結び付きを勝手に推測する動きも出ている。
万葉集から名付けた令和は、中国・後漢時代の張衡(ちょうこう)の詩「帰田賦」に由来していると一部で指摘されている。
帰田賦は、当時の政治腐敗に耐え切れずに帰郷したときの心情をうたったともされている。さらに、考案者とされる有識者は、憲法9条を守る運動をしている市民団体のサイト上で賛同者の1人として挙げられている。こうしたことから、令和の元号名は、政府への皮肉を込めたものではないかとの根拠不明の憶測がツイッター上などで流れている。
一方で、メディア側では、たとえば時事通信が3月26日の記事で、「選考過程が不透明になる恐れがある」と指摘したほか、朝日新聞の4月3日付コラム「天声人語」では、政府が明らかにしないため、令和考案者が窮屈な立場に追い込まれているのではないかと疑問を呈している。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)