新元号「令和」について、「なんとなく安倍政権の目指す国民への規律や統制の強化がにじみ出ている感が否めない」(社民党・又市征治党首)といった否定的な声が野党からあがる中、例外だったのが国民民主党の玉木雄一郎代表だ。
「令和」をめぐっては、万葉集以外に中国古典にも典拠があるとの見方がある。玉木氏は2019年4月3日の定例会見で、「令和」を選んだことを「時空を超えたスケールを感じさせる選定」だと絶賛した。
万葉集と文選で8文字中5文字が共通
政府が発表した新元号の典拠は万葉集(780年頃)の「初春令月気淑風和」だが、中国の詩文集「文選(もんぜん)」(530年頃)に収録されている、後漢の張衡(ちょうこう)による「帰田賦(きでんのふ)」の句「仲春令月時和気清」にも典拠があるとの見方がある。新元号の発表の数時間後に、岩波文庫編集部や日本文学研究者のロバート・キャンベルさんが、この点をツイッターで指摘していた。両者は8文字のうち5文字が共通しており、万葉集による文選への「オマージュを含めてナイスチョイス」(キャンベルさん)だというわけだ。
玉木氏の会見では、記者から
「そもそも元号を廃止するという考えはないのか」
と問われたのに対して、玉木氏は
「私は歴史と伝統を重んじる政治家で、これまで連綿と続いてきた元号というものは、維持していくべきだという考え」
だと応じた。
「時空を超えたスケールを感じさせる選定」
その上で、万葉集と文選で8文字のうち5文字が共通していることを紹介しながら
「明らかに、オマージュとして、当時の知識人は必ず、こうした歌が編み込まれた文選を暗記、勉強していたと思う。その意味では、『日本の万葉集による』という一方で、『漢籍による』ということも言える」
などと分析。複数の典拠を共存させたとみられる新元号選びのプロセスに驚嘆していた。
「これまでの伝統を守ったということで、日本の知の集大成というか、こうしたことに造詣の深い知性の結集だと思うし、加えて、漢字文化という中国、朝鮮半島、日本という北東アジア全体をつなぐような、時空を超えたスケールを感じさせる選定だと思う。(「令和」が)広く国民の中に受け入れられることを期待したい」
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)