2019年4月1日に発表された新元号「令和」の出典は、日本に現存する最古の歌集「万葉集」だ。これまでの元号は確認できる限りはすべて中国の古典が由来で、大きく方針を変えたことになる。
安倍晋三首相は同日正午過ぎから記者会見を開き、この点について
「我が国は歴史の大きな転換点を迎えているが、いかに時代が移ろおうとも、日本には決して色あせることのない価値があると思う」
などと説明した。ただ、海外メディアでは、必ずしもそれを額面通りに受け止めない向きもあるようだ。
AP通信「中国の古典を出典とする伝統からの決別」
AP通信は、「令和」が選ばれた理由として、
「厳しい寒さのあとに春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人ひとりの日本人が明日への希望とともにそれぞれの花を大きく咲かせることができる」
といった願いを込めた、という安倍氏の発言を引用した上で、
「中国の古典を出典にする伝統からの決別は、安倍氏の極右政権から期待されていたことだ。政権は対中関係でタカ派になることも多い」
などと指摘。安倍氏とその熱心な支持者が、いわゆる「自虐史観」の問題を主張していることにも言及した。
ロイター通信は、
「専門家は、国の誇りを強調する安倍氏の保守的な政治的路線が反映されている、と指摘している」
として、安倍氏が万葉集について説明した一節を引用した。
「世界に誇るべきものであり、我が国の悠久の歴史、香り高き文化、四季折々の美しい自然。こうした日本の国柄はしっかりと次の時代に引き継いでいくべきであると考えています」