「霞が関修辞学」の悩ましい判断 景気「下方修正」はどう読むべきか

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エコノミスト「公共事業をこれ以上積み増しても...」

   3月7日に発表した1月の景気動向指数で、基調判断を、それまでの「足踏み」から「下方への局面変化」に引き下げたのも、こうした生産などの停滞を示すデータなどを機械的に反映した結果だ。ちなみに、この「下方への局面変化」という表現は、景気がすでに数カ月前から後退し始めている可能性が高いことを示す。

   それでも今回、茂木氏が「現時点で景気回復が途切れたとは考えていない」と強調するのは、消費と設備投資が堅調なことが理由だ。

   政府の景気判断は、景気の変わり目に差し掛かると、難しくなるのが当然で、勢い、表現が微妙になる。「霞が関修辞学」の代表格とされる所以だ。しかも、政府は一般に、景気がいいとアピールしたいものだから、景気後退がはっきりするまでは、「まだ大丈夫」と言い張ることが多い。また、「景気は『気』から」と言われるように、景気悪化を政府が認めてしまうと、本当に景気の足をひっぱりかねないという悩ましさもある。

   エコノミストの現状認識も、「中国の景気テコ入れなどで世界経済が総崩れにはならない」といったものから、「上昇が陰り、下降に転じる可能性もある『踊り場』といった表現が適当」、あるいは「昨秋にピークをつけ、すでに後退局面入りしている」など、割れている。

   茂木氏は20日の会見で、安倍晋三首相が10%への消費税率引き上げを延期した2016年と比較し、「内需がしっかりしており米国経済も堅調。当時とは状況が違う」と説明した。ただ、設備投資や消費も息切れ、失速するようなら、政府が追加の経済対策を検討せざるを得ない状況になる可能性もある。だが、対策を行うにも、消費税増税のダメージを緩和するため既に2兆円規模の経済対策を決めており、「公共事業をこれ以上積み増しても実行し切れない」(エコノミスト)とも指摘される。

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