4月1日には恒例だったエイプリルフールの「悪ふざけ」企画に、ブレーキがかかる可能性もでてきた。米マイクロソフトで社内向けに「禁止令」が出た、というのだ。
過去に企業が行った企画では「炎上」して謝罪に追い込まれるケースも相次いだ。「フェイクニュース」拡散が問題視される中で、エイプリルフール企画に対する警戒感の高まりを反映していると言えそうだ。
前向きな影響は限られ、望まないニュースの循環につながる
「禁止令」は、米国のITニュースサイト「ザ・バージ」が2019年3月27日(米東部時間)に報じた。同サイトは、マイクロソフトのクリス・カポセラCMO(最高マーケティング責任者)が社内向けに出したメモを入手したという。それによると、エイプリルフール企画について
「その結果は素晴らしいものもあれば、そうでないものもある。いずれにしても、この種の『いたずら』が生む前向きな影響は限られていることがデータで明らかになっており、実際には望まないニュースの循環につながりうる」
と指摘し、
「最近のIT業界への逆風を踏まえて、マイクロソフトのすべての皆さんに、公共の場でのエイプリルフールのいかなるいたずらも行わないようにお願いしたい」
などと企画の自粛を求めた。メモでは、企画に向けて従業員が費やしたであろう労力についても言及しながら、
「この日に冗談をしようとすることで、得るものよりも失うものの方が大きい」
とクギをさした。
グーグルの「炎上事案」も念頭に?
マイクロソフトは、13年には自社の検索エンジン「Bing」のトップページのデザインをグーグル風にしたり、15年にWindows Phoneの見た目がMS-DOSのようになる仕掛けを施したりと、様々な「いたずら」を試みてきた。これらが炎上につながったわけではなく、「ザ・バージ」では、今回の対応は「安全策」の一環だとみている。
グーグルが16年に行った企画では、メールを送信する際に「ミニオン」がマイクを落とす画像が添付される機能をGmailに実装。これがトラブルに発展した経緯がある。マイクを落とすという動作は「もう、これ以上話をするつもりではない」という意味を持つ上、メールを送った相手からは返信が受け取れないようになっていたこともあって、ジョーク機能を誤って使ってメールを送ってしまった人から苦情が殺到。グーグルは謝罪に追い込まれた。こういった他社の事例を警戒したのに加えて、ツイッターやフェイスブックといったSNSを介したフェイクニュースの拡散が問題視されていることも背景にあるとみられる。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)