ツイッターでハッシュタグ「IT介護」を付ける投稿が、ちょっとした話題になっている。ITリテラシーの低い上司や年配社員の補助を「IT介護」と名付け、タグとともに愚痴をつぶやく動きだ。
専門家は"介護"のつらさを「年上の同僚や上司に対してとなると中々はっきりと言うことができず、どんどん負の連鎖に陥ってしまいがち」と指摘する。
「別途料金発生させて欲しい」
「メール送るだけでも呼びつけられる」
「初めての#IT介護は『俺、パソコン使えないから俺の代わりにワードで書類作って!』 だった」
「編集職やってるとしばしばある上、その都度作業中断されるからホントに困るんだよなあ...」
「IT介護これほんまに別途料金発生させて欲しい こんなんだから、仕事遅れるんだよな」
ツイッターでは、IT介護への怨嗟(えんさ)の声が渦巻いている。疲弊感にみちた人、労働生産性に悪影響だとする人、長時間労働の温床になっているという人...。当事者の悩みは深刻のようだ。
「やはり日本人は年齢や役職に対して非常に敏感で、年上の同僚や上司に対してとなると中々はっきりと言うことができず、どんどん負の連鎖に陥ってしまいがちです」――。ITジャーナリストの久原健司氏は2019年3月26日、J-CASTニュースの取材に、IT介護が進む背景をこう話す。
"介護疲れ"を防ぐには?
社員間のコミュニケーションでは解決が難しいこの問題。企業側で対策は講じうるのか。
久原氏は「やはり、企業内全体のITリテラシーの教育に力をいれることが大切です。できる人だけに依頼をすれば、もちろん仕事も早く終わり、生産性が高い・効率が良いと感じるかもしれませんが、特定の人だけにお願いをすることにより、その人にだけ責任がのしかかったり、周囲から浮いてしまったりするなどでつぶれてしまう可能性もあります。目先の仕事をこなすことだけを考えるのではなく、企業のこれからを考えて対応をしていく必要がある」とアドバイスする。
それでも初歩的なITの知識を聞かれる機会はあるだろう。その場合は「答え」だけでなく「解き方」も教えると、同じ質問をされることが減って"介護疲れ"しづらくなるという。
「例えば、エクセル(表計算ソフト)の関数がわからないといわれた場合、グーグルなどで検索をし、やり方を見ながら一緒に進めるというやり方です。答えを知ってからだと解き方を考えることは学校でない限りやらないでしょう。ですので、解き方を身につけさせながら、答え・やり方を覚えてもらうという方法がおすすめです」(久原氏)