賃貸アパート大手のレオパレス21の施工不良問題で、弁護士3人による外部調査委員会(伊藤鉄男委員長)から、関与の疑いを指摘された創業者の深山祐助・元社長。
深山元社長は同社の創業者で、1973年8月から2006年5月まで社長を務めた。だが、当時の入居者から共済金の名目で集めた資金約48億6500万円を不動産取得などに私的流用していたとして2006年5月に社長を辞任し、同年6月に取締役も退任している。元社長は現在の深山英世社長のおじに当たる。
「当時の社長からのトップダウンの指示」が背景と結論
外部調査委が施工不良の中間報告で元社長を指弾するのは、異例の展開だ。
入居者に転居を求める事態になった今回の問題について、外部調査委は2019年3月18日、中間報告を発表。外壁や部屋間の仕切り壁(界壁)の材料として使われた発泡ウレタンについて、「当時の社長だった深山氏の指示の下、施工業務の効率化等を目的に使用する方向性が示された」と指摘した。
界壁と外壁は設計図や国交相の認定ではグラスウールという素材を使用することになっていた。実際に使用した発泡ウレタンは遮音性や耐火性の基準を満たしておらず、外部調査委は「物件への入居者数を増やすため、工期の短縮や施工業務の効率化が意図されていた」と、厳しく指摘。「当時の社長からのトップダウンの指示」による商品開発が「法令や品質を軽視する原因・背景になっていたと思われる」と結論づけた。
外部調査委は、施工不良の物件(着工は1994年~2001年)を商品として開発した当時、「同社には法的問題を専門的に扱う部署や担当者は存在しなかったと思われる」と、同社のコンプライアンス(法令順守)体制のお粗末さにも言及した。