中国への避難「考えもしませんでした」 石巻に根付き中華料理店を開いた夫妻【震災8年 海外とつながる3】

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

独立を決意...開店で「少しでも街に賑わい取り戻せたら」

   震災直後に感じた「この先の不安」は、ライフラインが徐々に復旧するに連れて薄れていった。夫婦ともども、仕事も本格的に再開すると日々多忙となった。

「外から見れば私たちは中国人だと思われるでしょう。でも自分たちは『石巻が地元』の意識なんですよ」

と培霞さん。地震と津波で変わり果てた石巻を目にした悲しみを、この地で生まれ育った人たちと同じように抱いた。だからこそ、地元のために貢献しようとの思いを改めて強くした。

   それが形となったのが、中華料理店「雲雀」のオープンだ。夫婦とも勤務先を辞め、独立を決意したのだ。店の場所は、培霞さんが以前アルバイトをしていた飲食街に定めた。震災時に一帯が浸水し、多くの店が撤退したエリアだ。あえてそこを選んだのは、開店により少しでも賑わいを取り戻すことができたらとの願いからだったという。2012年6月のオープン当初は、夜によると辺りは真っ暗で、

「お化けが出るんじゃないか、というぐらい怖かったですよ」

と輝さんは笑う。

   初めは地域の復旧工事に来ていた人が多く店を訪れた。年数の経過とともに客層も変わり、最近では地元の人や、仙台から訪れる人もいる。インターネットのグルメサイトの口コミ情報を頼りに、「ギョーザが食べたくて来ました」という声も聞くようになった。なじみの客も多く、広東風焼きそばやチャーシュー丼といった人気メニューが増えてきた。

   開店からおよそ7年。少しずつだが、地域には飲食店が新たに建ち、活気も生まれてきた。「店同士が助け合い、励ましあう。そんな石巻の人の気質がとても魅力的です」と2人はほほ笑む。これこそ、韓さん夫妻が震災直後に迷いなく石巻に残った大きな理由だったかもしれない。

「これからも石巻に根付いて、店を続けていきますよ。夫のおいしい料理を、多くの人に召し上がっていただきたいですからね」(培霞さん)

(J-CASTニュース編集部 荻 仁)

1 2
姉妹サイト