厚労省は「保育需要が増えている」
保育士大量退職の背景には、国などの音頭でここ数年、全国規模で保育園の数を増やしていることがあるようだ。
国は、「待機児童解消加速化プラン」を策定し、2017年度末までの5年間で50万人以上の保育の受け皿を拡大し、政府目標を達成したとしている。さらに、その後の「子育て安心プラン」では、20年度末までに30万人以上の受け皿を用意したい考えだ。
ところが、この5年間で受け皿は増えたものの、保育士の数はそれに追い付いていない状況になっている。
厚労省の統計によると、保育園などの受け皿は、17年までの5年間で4割ほども増え、約3万3000施設にもなった。一方で、保育士や保育教諭の数は、2割ほどの伸びに留まり、17年現在では約42万人になっている。
保育士の取り合い状態が続いている背景には、急激な保育園の増加に保育士の供給が追い付いていない現状がある。その結果、保育士の待遇や労働環境の悪さがクローズアップされ、大量退職に結び付く皮肉な現象が起きているようだ。
保育士などの不足状態について、厚労省の保育課は3月26日、次のように取材に説明した。
「待遇などが悪い理由もあることは否定しませんが、保育需要が増えていることが大きいと考えています。今後は、処遇改善のほか、新規資格者を増やしたり、離職者の再就職を進めたりするなどして、さらに増やしていきたい」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)
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