全国で相次ぐ「保育士大量退職」 園新設に供給追い付かず...「取り合いみたいな状況」運営会社も苦渋

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人材紹介会社への不満も

   八雲保育園を運営する学栄は、ボーナス支給や夏休み取得で保育士側と認識に食い違いがあったことを広報担当者が取材に認めた。残業は、1か月に4、5時間ほどで、常識の範囲内だったとしている。

「保育士の募集に当たって、人材紹介会社を使っていますが、間に入ると、言った言わない、といった話になるようです。勘違いが起こらないように、ないことをあると言わないようにお願いするなどの対策をしています。都内に保育園がどんどん作られて、保育士の取り合いみたいな状況になっています。16年と18年も、新しいところにたくさん人を持っていかれるなどして、非常に困りました。しかし、利用者に不安を与えてしまう結果になって申し訳なく、このようなことがないように安定雇用に努力したいと思っています」

   保育所の新設が相次いで、保育士の流出が続く状況は、全国各地であるようだ。

   仙台市では、認可保育園「パリス将監西保育園」が2018年4月に市立だったのが民営化されてから、職員20人ほどのうち保育士7、8人を含めて約10人が19年3月までに順次退職していることが分かった。

   保育園を運営する山形県内の社会福祉法人みらいでは、シフト制で人手不足から一部で残業も多く、ボーナスなどの給与条件が不満で辞めた人が多いと取材に明かしつつも、こう現状を訴えた。

「保育士の売り手市場で、人材の引き抜きが多くて困っています。人材紹介会社を通じて何人も採用しましたが、定着がよくないわけです。紹介会社が、うちとは違う高い給与条件を応募者に示しているのも不満の原因になっています。保育士の中には、1か月で辞めてしまう無責任な人も一部でいて、保育現場は荒れていますね」

   市の環境整備課は、約10人が退職した理由としては、自己都合や家庭の事情が多く、待遇や長時間労働への不満については把握していないと取材に答えた。同課では、余裕ある配置をして保育士の定着を図るように指導しているというが、保育士はその都度補充されているため、安定保育のうえで問題はないとしている。

   ただ、市内で保育士などが半数ほども辞めたケースは、ほかには聞かないという。

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