あるパチンコ屋が提供する、遊技者向けの領収書発行サービスが話題になっている。
サービスの狙いは?経費として落とせる?店と税理士に取材した。
遊技者拡大に店期待
中国ルポライターの安田峰俊氏が2019年3月25日、「闇が深いパチンコ屋が」とのつぶやきとともに1枚の写真をツイッターに投稿した。
東京都内にあるパチンコ店の看板をおさめた写真で、「領収書発行!経費で遊べる!?」と書かれている。安田氏によれば街で偶然見かけたという。
投稿は2300以上リツイート(拡散、29日現在)され、「経費になるの?」「税務署的には、どういった見解になるんだろ?」と驚きの声が相次いだ。看板には「ご利用にあたり経理計上をされる場合は、関係各所にご確認ください」との注意書きもある。
パチンコ店の店長は29日、J-CASTニュースの取材に、会員向けのサービスとして今年の2月から導入したと明かす。
「ほかのパチンコ店やパチンコメーカー、パチンコ雑誌のライターさんなど、同業者向けに提供できるサービスがないかと考え試しにやっています」
これまでの利用者は数人だというが、「共感して導入してくれる店が増えれば、一般企業がレクリエーションで利用するなど遊技者が拡大するのでは」と期待を込める。
税理士「下手をすればただの脱税」
パチンコ店の領収書は経費として認められるのか。冨田建税理士(公認会計士)はJ-CASTニュースの取材に、「収益獲得の犠牲なら可能の余地も考えられます」という。
「たとえばパチンコ店の取材に訪れたライターなら取材費などで計上というのも全く考えられなくはないと個人的には思います。ただし、それが極端に高額とかではなく、取材費としての常識的な範囲でならですが。もちろん、ただ遊んだだけなら不可です」
儲け分については「一時所得計上するのが理論的とは思います。ちなみに、パチンコで生計をたてているプロは事業所得というのも考えられなくはないですが、あまり一般的とは言えないですね」と見解を示した。
その上で利用者の注意点を聞くと、
「パチンコ店が『ただ領収書を発行する』だけなら、『確かにその代金を受け取った』ことを表明するだけなので、税務上の経費かどうかは別として、もし店側が税務上の経費として使われる事を意図していなければそこには問題はないです。ただ、納税者側は、先ほどの見解を踏まえ税務上の所得を計算しないと、下手をすればただの脱税になり厳しいペナルティーがあります。領収書をもらったからすぐに経費化できたと判断せず、それが税務上の経費であるかを常に考える事が大切です」(冨田氏)