ボクシングの世界3階級王者・井岡一翔(30)が2019年3月27日、国内のReason大貴ジムに所属することを発表した。現在、日本ボクシングコミッション(JBC)にプロライセンスの再交付を申請しており、近日中にも発給される見通し。これにより日本での試合が可能となり、井岡陣営は6月にも首都圏で世界4階級制覇をかけてタイトル戦を計画している。
井岡は17年12月に引退を表明。父・一法氏が会長を務める井岡ジムを辞め、JBCにプロライセンスを返上した。ところが18年7月に復帰を発表し、同9月に米国で復帰戦のリングに上がった。米国での復帰にあたり日本のジムに所属せず、海外のプロモーターと契約。JBC発給のプロライセンスを取得していなかったため、日本のリングに上がることが出来ない状態にいた。昨年末にはマカオで復帰第2戦目を行うなど、当初は海外を主戦場に活動すると見られていたが、ここにきていきなりの日本復帰に首をかしげる関係者も。
「軽量級の選手がアメリカで成功するのは難しい」
父のもとを離れ、ボクシングの本場・米国へ渡った井岡だが、米国のリングに上がったのはわずか1試合だけ。18年9月にWBC世界スーパーフライ級シルバー王者と対戦し、3-0の判定で完勝した。この試合の模様はHBOで放送され、米国でのボクシングキャリアのスタートは上々と見られていたが、本場のリングはこれが最初で最後となった。都内でボクシングジムを経営するジム会長は「軽量級の選手がアメリカで成功するのは難しい」と指摘する。
井岡は男子の再軽量級となるミニマム級(47.6キロ)でデビューし、ライトフライ級(48.9キロ)、フライ級(50.8キロ)と、世界3階級を制覇。ミニマム級から3階級上げたとはいえ、現在のスーパーフライ級(52.1キロ)は世界的にみれば軽量級の範疇にある。中南米では軽・中量級のスター選手は多いが、ヘビー級やミドル級などの重量級が人気の米国で軽量級選手がスターダムにのしあがるのは厳しい現実がある。
当然、ファイトマネーも重量級よりも軽量級が少ない傾向にあり、同じ世界王者でも金額が2ケタ違ってくるようなケースもある。