貴景勝、横綱昇進に必要なことは? カギ握る「これからの一年」

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   大相撲の貴景勝(22)=千賀ノ浦=が2019年3月27日、大関昇進を決めた。春場所で10勝を挙げ、大関昇進の目安とされる「直近3場所で33勝以上」をクリア。日本相撲協会審判部は満場一致で大関に推挙した。

   力士による暴行事件や横綱稀勢の里の引退など暗いニュースが続いた角界だが、22歳の若き大関の誕生は角界にとって久々の明るい話題となった。豪快な押し相撲で一気に番付を上げていった貴景勝に、和製横綱不在の今、早くも横綱の期待がかかる。大関昇進にあたり「どういう大関になりたいというより、さらに上を目指してやっていきたい」と語った貴景勝。平成最後の大関は、はたして新年号初の横綱になれるのだろうか。

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過去、押し相撲一本で横綱になった例は...

   貴景勝の相撲は、まわしにこだわらない押し相撲。175センチと、力士としては小柄ながらも低い立ち合いから相手の懐に飛び込んで一気に押し出すスタイルで、巨漢力士を倒してきた。押し相撲を得意とする力士は珍しくはないが、貴景勝のようにまわしにこだわらず、押し相撲を貫く力士はそう多くはない。番付上位になればなおさらで、過去、押し相撲だけで横綱になった例はほとんどない。

   近年、押し相撲を得意として横綱に昇進した代表的な例は曙だろう。曙は長い腕を生かした突き押しを得意とし、相手にまわしを与えずに土俵外へと突き飛ばす相撲が定番だった。破壊力抜群の突きを武器にすさまじいスピードで番付を上げていき、デビューから所要11場所で十両に昇進すると、わずか3場所で幕内へ。大関は4場所務めたが、1場所は全休だったため事実上、3場所で大関を「卒業」し、横綱に昇進した。

   その曙でさえ、番付上位に対して突き押し一本というわけにはいかなかった。苦手ながらも四つに組む相撲を習得し、相撲の幅を広げていった。これまで出島、武双山、千代大海といった押し相撲を得意とする大関が横綱を目指したが、大関の壁を超えることは出来なかった。貴景勝が横綱になるためには四つ相撲の習得が必須なのか。相撲関係者は次のように指摘した。

「貴景勝に今必要なのは勢い」

「現段階で貴景勝が四つ相撲を覚える必要はない。横綱になってから取り組んでも遅くはない。貴景勝に今必要なのは勢いです。下手に四つ相撲を覚えようとすると、リズムが崩れてしまい自分の相撲が取れなくなる恐れがある。横綱になるために必要なのは、相撲のスタイルではなく勢いです。貴景勝は今の押し相撲に磨きをかけることが一番大事。若く、勢いのある今が横綱になる最大のチャンスですから」

   平成以降、10人の横綱が誕生しているが、大関所要場所の平均は約17場所。最短は朝青龍の3場所で、これに曙の4場所、白鵬の8場所が続く。一方、スロー昇進は大関32場所目で横綱昇進を決めた武蔵丸。31場所の稀勢の里が2番目で、29場所の三代目若乃花が3番目となる。大関在位期間の短かった横綱ほど、横綱在位の期間が長く、優勝回数が多い傾向にあることから、将来を見込めば早い段階での横綱昇進が理想的だろう。

   かつての師匠、元貴乃花親方は大関を11場所で通過して22歳3カ月で横綱昇進を決めた。今年8月に23歳を迎える若き大関の横綱昇進は、この一年がひとつのヤマとなりそうだ。

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