販売員やお客様の復興支援への熱意感じて
「だから昨年、東急百貨店本店で開催した大食品祭で、震災後初めて『福島牛」を販売したとき、我々も半信半疑でした。お客様がどんな反応をされるのか不安でした」
ただ、ふたを開けてみると、予想以上に好評。
「女性販売員の一人が福島県出身で、復興への強い思いから、本当に一生懸命に販売してくれました。親近感が募り、またその熱意が他の販売員にも、お客様にも伝わったのだと思います。『これはいける!』という手応えがありました。それに、お客様からの反響が驚くほど大きく、復興支援に対する意識の高さ、応援したいという思いの強さを感じました」
いまや福島牛の販売は、定期的に開催しお客様より支持される企画になってきている。篠田さんは
「しっかりした目利きで仕入れた福島牛のおいしさを伝えたい。まずは『食べておいしい』ということを知っていただく。福島牛はリピーターが多いんですよ。食べて実感していただく効果が大きいんだと思います」
と、胸を張る。
販売する福島牛は、すべての販売員が試食。
「自分で食べてみないとセールストーク、できないですからね。販売員には試食をしてもらい、おいしさをわかってもらい、それをお客様に伝え、売ってほしいとマメに話しています。こういった料理がおいしいとかも、伝えてかまわないですよ、と」
おいしさをわかった販売員のオススメだからこそ、お客様も安心し親しみをもって買い物できるのかもしれない。
この時季の売れ筋は、すき焼き用やしゃぶしゃぶ用。調理しやすい切り落とし肉がよく売れ、当日分が売り切れてしまうこともあるという。
篠田さんは、
「牛肉はもう福島第一原子力発電所の事故以前から、狂牛病とかO157とか、いろいろな困難があり、そのたびに厳しく、他の食材よりも厳重に検査して市場に出るようになっています。だからこそ、牛肉は今一番、『安全・安心』な食べ物と言っても過言ではないはずです」
と、推す。
さっそく、篠田さんオススメの福島牛、黒毛和牛ひれステーキ用を購入。脂がやわらかく、サシがきれいに入っていて、赤身がすごく映える。ソテーして、いただいた。
うまい!「やわらかく溶けてしまうよう」
ひと口食べると、
「なんておいしい!」
「やわらかく、口の中で溶けてしまうよう!」
「フィレなのに脂身が適度でジューシー。赤身の味もしっかりしている」
なるほど。おいしさも品質も、太鼓判なわけだ。
「精肉あづま」では、今後も福島牛フェアを予定しており、次回は4月12日からだ。風評被害の払拭に向けた取り組みは続いていく。