大相撲の横綱白鵬(34)=宮城野=の三本締め問題が波紋を呼んでいる。春場所で42度目の優勝を飾った白鵬だが、表彰式の際に会場の観客をうながして三本締めを行った。
横綱審議委員会(横審)は、この白鵬の行為を問題視し、相撲協会に対して教育の徹底を強く要望。前人未到のV42を全勝で飾った白鵬だが、再び横綱としての品格が問われることになりそうだ。
17年九州場所でも問題視されていた
白鵬の表彰式での行動が問題視されるのはこれで2度目。2017年九州場所では、優勝インタビュー後に万歳三唱を促し、ファンと共に万歳三唱を。「暴走」はこれにとどまらず、暴行問題で休場していた横綱日馬富士と貴ノ岩を名指しして「土俵に上げたい」と発言。これらの言動が問題視され、理事会に師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)と白鵬が呼ばれて厳重注意を受けた。
前回同様、今回も観客を巻き込んでの行動が問題視されているが、前回とはその性質が異なる。三本締めとは本来、表彰式後の「神送りの儀式」で行われるものである。場所前日の「土俵祭」で迎えた神様を天に帰す儀式で、これをまだ場所の最中である表彰式途中で横綱が率先して行ったことが問題視されている。白鵬がこの儀式を認識していたかどうかは不明だが、どちらにせよ角界の頂点に立つ力士として資質が問われかねない。
スポーツ紙などの報道によると、横審委員からは白鵬に対して「三本締めをできる立場にあるのか」などの厳しい意見が出たという。ネットでは白鵬の行動に「違和感を覚えた」というファンが多く見られ、白鵬への批判と共に協会の指導力を問う声が寄せられている。一方で擁護派もおり、落語家の立川志らくさん(55)は3月26日、自身のツイッターを更新し「白鵬のサービス精神は立派」と称賛し、「なんで全勝優勝した横綱に恥をかかせるのか」と、白鵬に苦言を呈した横審に批判の矛先を向けた。
相撲関係者「今後も同じようなトラブルが...」
大相撲はスポーツでありながら神事という側面を持ち、場所開催の前後には様々な儀式が執り行われる。相撲関係者は、
「白鵬が三本締めの意味を知ってた、知らなかったというのはあまり大きな問題ではなく、土俵上での好き勝手な行動が問題なのです。今回の行動を見ると、まるで自分が角界を仕切っているようにも見受けられます。協会はここできっちりと指導、注意をしないとますますエスカレートしかねません。最近は休場も多いし、言うべき人がはっきりと言わないと今後も同じようなトラブルが起きるでしょう」
と警鐘を鳴らす。
白鵬は春場所千秋楽の横綱鶴竜戦で右上腕を負傷し、春巡業の参加について慎重な姿勢を見せている。負傷箇所の回復次第では、5月に開催される夏場所の出場も危ぶまれるだけに予断を許さない状況にある。