専門家「あっても不思議ではない現象」
どうしてこのような状態になるのか。沼津港深海水族館の飼育展示マネジャー・塩崎洋隆さんに写真を見てもらうと、「こういう状態は初めて見ました」とした上で、「大きさなどの特徴から言って間違いなくオオグソクムシでしょう」と話す。
「オオグソクムシは他の動物に寄生しません。海底にいて、穴を掘って隠れたり、狭いところに潜ったりする習性があります。一方、ヤリイカは季節によっては深い海に生息します。ともに海底にいる時に底引き網漁などで一緒に捕獲され、オオグソクムシは近くにいたヤリイカの中に隠れようとして入ったのではないかと推測されます」
鳥羽水族館の飼育員・森滝丈也さんも取材に対し、「初めて見ました」と話す。「同じ網にかかった際、オオグソクムシがヤリイカをエサとして食べようとして、薄皮を破き、潜り込んだのではないでしょうか」とし、次のように見解を述べる。
「オオグソクムシは『腐肉食』といって、死んだ状態、死にかけている状態の動物を捕食します。生きて泳いでいるものは襲いません。ですので、このヤリイカが網で捕らえられて弱っていたか、ほとんど死んでいた状態のところに取りついたのではないでしょうか。
ヤリイカは、魚と違って胴体が筒状になっているので入り込みやすいでしょう。臭いが強いワタにひかれ、隙間を狙って入っていったと思われます。あっても不思議ではない現象です」
ところで、このヤリイカは人が食べても大丈夫なのだろうか。塩崎さんは「問題ないと思います。オオグソクムシは毒などを持っているわけではないですし、人が食べても害はありません」と話していた。
(J-CASTニュース編集部 青木正典)