センバツ高校野球の1回戦で、敗戦した横浜高校(神奈川県)の選手らが試合後、対戦相手と握手せずにベンチに戻ったことに、ネット上で疑問や批判の声も相次いでいる。
試合後などに握手しない規則があるとの指摘も出ているが、神奈川県高野連は、J-CASTニュースの取材に対し、その規則を否定し「その時に応じて」だと説明した。
13年版の「大会細則」には...?
2019年3月24日の試合では、対戦相手の明豊高校(大分県)に逆転され、古豪の横浜高校は、5対13の大差で敗れて初戦で姿を消した。
主審らが「礼!」と声をかけると、対戦相手の明豊高校(大分県)の選手らとともに帽子を取って深くおじぎをする。直後に明豊高校の選手らが前に出たが、横浜高校の選手らは、1人を除いて握手せず、すぐに後ろを向いて足早にベンチに戻って行った。
こんなシーンがNHKの野球中継で流れると、ツイッター上では、横浜高校に対する疑問や批判が次々に出た。
「ボロ負けして試合後の握手無しなの?」「相手に対して失礼になる」「高校はどういう指導してるんですか」...
高校野球では、多くのチームが試合後に握手していたとの指摘があり、なぜ今回はしないのかとの声もあった。
一方で、横浜高校が握手しなかったのには、事情があったためではないかと冷静に見る向きもあった。
その根拠の一つとして、県高野連が2013年の「大会細則」として公式サイトに載せている一文がある。
県高野連「握手するなとは言っていない」
そこでは、「両チーム選手の試合前および試合後の握手はしない」と書かれていた。
また、朝日新聞出版の週刊誌「AERA」の2018年4月18日付ウェブ版記事では、神奈川県高野連のコメントとして「高野連からの通達もあり、選手が握手をしているのを見かけたら関係者の会議の席などで注意をしています」とあった。この記事では、高野連として通達は行っていないとしつつ、過去に元会長が連絡会議で話した内容が、「禁止と受け取られた」との見方を取る。
J-CASTニュースの取材に対し、センバツの大会本部は3月25日、高野連ではやはり、試合後の握手をしない取り決めはないとした。一方で、横浜高校の選手らがしなかったことについても、「まったく問題はない」と広報担当者が取材に答えた。
対して、神奈川県高野連の専務理事は同日、13年の大会細則については、よく分からないとした上で、「試合後に握手するなとは言っていないです」と説明した。「整列後に校歌斉唱もありますので、時間を長引かせないよう素早く動きなさいと言っているだけです」とした。
「どこのチームも、そのときに応じて、試合後の握手をしたりしなかったりと、決まっていません。横浜高校は、大敗でふて腐れている雰囲気はなく、不自然さはなかったと思います。審判がいつまでもやらないように制止した可能性もあるかもしれません」
なお、明豊高校の応援団担当教員は同日、「うちの選手は、習慣でみな手を差し出しました。ネット上で出ている情報のことがあるのかと認識しており、握手しなかったことはまったく気にしていません」と話した。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)