それでも続く難しいハンドリング
だが、先行き、難しい局面が続くのも、また疑いない。新たに4月にも始まる日米2国間貿易交渉で、米国は日本に対し、貿易不均衡是正を迫る。2017年度の日本の対米貿易黒字6兆9999億円のうち自動車と自動車部品が5兆3657億円と全体の76.7%を占めるだけに、自動車がターゲットになるのは避けられない。輸出台数の数量規制を求めてくるとみられ、現状2.5%の自動車関税を最大25%に引き上げることをちらつかせて、米国が強い姿勢で交渉に臨んでくるのは確実だ。
そこでは、日本からの完成車の対米輸出の4割を占めるトヨタが矢面に立ちかねない。仮に25%に関税が上がると、単純計算でトヨタの負担は年間4600億円も膨らむ。
こうした事情を背景に、交渉開始前のタイミングを見計らって、米国での投資の上積みを打ち出したのだろうが、トヨタにとって、日本国内雇用維持のため「国内生産300万台」という譲れない一線があり、米国生産をどこまで増やせるかは微妙。今後の生産・販売拡大を見込む中国を含め、日米中の生産のバランスをどのように取っていくのか、難しいかじ取りが続く。