FMラジオ局「TOKYO FM」が2019年4月から、人気声優を起用した平日朝のワイドニュース番組を始める。
担当するのは、アニメ「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」のシン・アスカや、「銀魂」の沖田総悟、「おそ松さん」のイヤミなどを演じた鈴村健一さん。声優によるニュース番組と聞くと、ちょっと意外な組み合わせにも思えるが――。
「爽やかな声と経営者の一面を活かした独自の視点」
TOKYO FMをはじめとするJFN(ジャパンエフエムネットワーク)の全国38局では4月1日から、鈴村さんがパーソナリティーの情報番組「ONE MORNING」(平日6~9時、一部東京ローカル)を始める。同時間帯では、これまでサッカー解説者の中西哲生さんらを起用した「クロノス」を放送。およそ10年ぶりの大型改編となる。
新番組は「それぞれの朝に、新しい価値観を。」をキャッチコピーに、「爽やかな声と経営者の一面を活かした独自の視点」でニュースを伝える。なお鈴村さんは声優である一方、自身や櫻井孝宏さんらを擁する声優事務所の代表でもある。
番組概要が3月18日に発表されると、ツイッターではファンから、
「社長としての話が聴けるの嬉しいなぁ~」
「帯番組とかやばい!!ぜ。ぜったいきくやん」
「冷静に考えると、平日の朝から毎日鈴村さんのラジオ聴けるってやばくないですか」
など、驚きまじりの喜びの声が上がった。
裏番組はAM「安定感」、FM「さわやかさ」
裏番組と比較すると、AM各局は「安定感」に重きを置いたのか、アナウンサー中心の布陣になっている。平日朝7時台は、TBSラジオが森本毅郎さん(元NHK)、ニッポン放送が飯田浩司アナの担当。文化放送では4月から、上田まりえさん(元日本テレビ)らがパーソナリティーを務める。
一方、FMはTOKYO FMのみならず、「さわやかさ」に寄せている印象だ。ラジオDJや俳優、歌手を中心に起用。各局が「耳心地の良い声で一日をスタートしよう」としている印象があり、そこへ鈴村さんが加わっても、あまり違和感はなさそうだ。
声優によるラジオの多くは、いわゆる「アニラジ」として、くくられることが多い。特定のアニメ・ゲームの出演者がパーソナリティーを務めるものから、作品にとらわれず声優個人のトークを楽しむもの、「アニソン」を紹介するものなどと多岐にわたるが、今回の新番組は少し性質が異なる。作品や声優自らのバックグラウンドではなく、「最新のニュース」が題材になっているためだ。
文化放送でも「声優による情報番組」が今春スタート
実は、声優による平日帯のワイド番組は、ONE MORNINGが初めてではない。1980年代後半から90年代前半にかけて、文化放送の夕方ワイドを「ナチチャコ」こと、野沢那智さんと白石冬美さんのコンビが担当。ふたりは、TBSの深夜ラジオ「パックインミュージック」以来、四半世紀にわたりAM各局の番組に出演してきた。とはいえ、この例はあくまで「レジェンド」的な位置づけだ。
曜日パーソナリティーに広げれば、山寺宏一さんも長年、bayfmの午後ワイド番組(バズーカ山寺名義)を担当してきた。現在出演している「The BAY☆LINE」(水曜16時~18時55分)では、最新エンタメニュースを紹介するコーナーもあり、こちらもまた一般的な「アニラジ」のイメージとは異なる。
文化放送でも今春、声優がニュースを扱う生番組がスタートする。4月5日からの「RADIO UnoZero(ラジオウノゼーロ)」(金曜22~23時)は、お笑いコンビ「東京ホテイソン」とともに、井口裕香さんを起用。エンタメやグルメ、ファッション、サブカルチャーなど、その1週間に話題になった出来事を紹介するという。
演じるにとどまらず、ニュースキャスターの役割も。思えば、テレビの情報番組では、有名声優が多数ナレーションを務めている。これから「声のスペシャリスト」が昼夜を問わず、ラジオに新たな風を吹かせてくれそうだ。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)