NGT48の山口真帆さん(23)の傷害事件をめぐって運営会社のAKSが2019年3月22日に新潟市内で開いた記者会見は、山口さんがリアルタイムで反論をツイートするという異例の展開となった。
「つながり」の定義について山口さんから反論を受け、会見が約3分にわたって中断した上、山口さんは運営側が作ったとする謝罪文の案も公表。運営側は謝罪の指示を否定しており、主張は平行線のまま約3時間にわたる会見は終わった。
あいさつは「私的領域のつながり」に含まれるのか
山口さんが事実関係について反論したのは大きく2点。ひとつが、「つながり」と呼ばれるファンとの私的接触に関するものだ。今回の第三者委員会の報告書の論点のひとつで、報告書では、12人のメンバーについて「つながり」が取りざたされた。ただ、AKSは今回の「つながり」について「不問に付す」としている。
記者会見では、「つながり」の意味に関する記者の質問に対して、AKSの松村匠・運営責任者兼取締役が
「範疇があいまいで、道ばたで声をかけても、報告書は『それは私的領域のつながり』というようなお話になっている。これは、私どもはエンタテインメントをやらせていただいているので、『あいさつをされて、あいさつを返したり』ということに関して、そのあたりのことを、今後メンバーとも誤解を受けないように対応するように、ということをしっかり教育させていただきたい」
など回答。あいさつも「私的領域のつながり」に含まれると報告書は解釈している、という見解を示していた。ただ、34ページにおよぶ報告書には「あいさつ」「挨拶」といった単語は登場しない。
「犯人グループとの交際を認めたメンバーもいます」
山口さんは、このことを念頭に、
「『挨拶も私的領域の接触(つながり)になる』との旨は調査報告書の何ページに書いてありますか?」
という一般利用者のツイートをリツイート(拡散)し、
「報告書に記載もないのに繋がりには挨拶も含まれるというのは勝手な解釈です。他のファンには公表できないような、特定のファンとの私的交流を繋がりと言うのはメンバーのみならずファンの皆さんも認識していると思います。証拠がないと仰っていますが、犯人グループとの交際を認めたメンバーもいます」
などとして「つながり」の拡大解釈を非難した。
この山口さんのツイートについて記者から指摘されると、松村氏ら登壇者3人は約3分間にわたって報告書の内容を確認。報告書に「あいさつ」の文字がないのを確認したのか、
「私的領域でつながることすべて、というのを、僕が『あいさつ』と解釈していた。それは訂正させていただく」
と発言を修正。犯人グループと交際したメンバーがいたかどうかについては
「本人と今一度話さないといけないのかな、というのが正直なところ」
などと述べるにとどめ、事実確認を避けた。
「スッキリ」「誤解」の言葉を避ける
もうひとつのポイントが、山口さんの劇場公演での謝罪が松村氏に強要されたものだったかどうかだ。松村氏は「謝罪を強要することは一切ない」と主張する一方で、山口さんは
「なんで嘘ばかりつくんでしょうか。本当に悲しい。松村匠取締役が当初言うように考えた文章です。他のメンバーに謝らせることはできないから、謝るしかなかったけど、スッキリも誤解もしていないし、どうしてもこの言葉は使いたくないと違う文章を考えて何度も交渉しました」
と反論。運営側が考えたとされる謝罪文案の画像を投稿した。その文案の内容は
「今回は皆様をお騒がせて(原文ママ)申し訳ありません。色々話してスッキリしたこともありますし誤解してたこともあります。これがきっかけになったらと思います。頑張りますのでどうぞ応援よろしくお願いします」
というもの。実際に山口さんが劇場公演で話した内容は次のとおりで、「スッキリ」「誤解」というキーワードを避けたことが分かる。
「このたびはたくさんお騒がせしてしまい、まことに申し訳ありません。先日もお伝えしたとおり、私にも守りたいものがあったからこのような形で皆様に伝えることになってしまったことも、お世話になっている方々たちにも迷惑をかけることになってしまったこと、本当に申し訳なく思っております。AKSの方とも話し合えて、これがきっかけとなって、またNGT48が新しい方向に向かえるように、私もチームGの副キャプテンとして、努力したいと思います。引き続き、NGT48の応援をよろしくお願いします」
山口さんの謝罪要求に関するツイートを見せられた松村氏は、
「これは、わたくしがアレしたものではありません」
と関与を否定。他のスタッフが指示した可能性については
「それはちょっとわかりません」
とした。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)