全日空(ANA)が仏エアバス社に発注していた超大型旅客機、エアバスA380型機の初号機が2019年3月21日、成田空港に到着した。総2階建てで、「ジャンボジェット」として知られたボーイング747型機よりも多くの乗客を乗せることができるのが特徴で、仏トゥールーズで3月20日(現地時間)にANAに引き渡されたばかり。
5月24日から成田-ホノルル路線に就航予定で、今後2か月かけて準備を進める。
窓が垂直なので空間が広く感じる
A380が日本の航空会社に引き渡されるのは初めて。ANAはA380を計3機発注しており、残り2機はそれぞれ19年7月、20年に運航を始める。
ANAのA380には乗客520人が乗れる。2階席(アッパーデッキ)には、ファーストクラス8席、ビジネスクラス56席、プレミアムエコノミー73席を配置。1階席(メインデッキ)にはエコノミークラス383席があり、そのうち後方の60席はソファー状のカウチシート「ANA COUCHii」になっている。ハワイでは神聖な生き物だと考えられているウミガメのハワイ語の愛称「ホヌ」にちなんで、「空飛ぶウミガメ」の意味を持つ「FLYING HONU」と名付けた。
この日の成田空港は、あいにくの雨模様で強風も吹いていた。「感激に浸る間もなく一生懸命操縦していた」という古川理(おさむ)機長は、A380の客室は輪切りにすると卵形になっていることから、特にエコノミークラスがある1階席を念頭に
「横の窓が斜めではなくまっすぐ立ち上がっているので、非常に空間を広く感じるし、エンジンが静かな飛行機なので、お客様に期待していただけるフライトができるのでは」
などと乗り心地の良さをアピールした。
2021年には生産打ち切られるが...
エアバス社は19年2月、21年にA380の生産を打ち切ることを発表している。A380を最も多く運航しているエミレーツ航空(UAE)が発注の一部を取り消し、受注残がなくなって生産体制の維持ができなくなったためだ。その結果、新造機としてA380を新たに導入する航空会社はANAが最後になる見通しだ。ボーイング787型機やエアバスA350といった最新鋭機の登場で、超大型機でなくても長距離路線で採算が取りやすくなったことが背景にあるが、成田-ホノルル線は需要が高いため、あえてA380の導入に踏み切った。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)